◆米国頼りの北ミサイル攻撃抑止 (産経 06/7/13)
元防衛大学校教授 67歳
北朝鮮は、日本海に弾道ミサイルを発射、わが国の制裁発動に対して「言語道断だ。後に破局的結果を招きかねない」と恫喝(どうかつ)、緊張が走っている。
が、わが国には、このミサイルを撃墜し得るミサイルはなく、発射基地を攻撃できる爆撃機もミサイルも持っていない。この状態は、ノドンが発射された平成5年と基本的には変わっていない。
北朝鮮の狙いは日米両国にあるが、損害を被るのはわが国である。
中ロ両国は、北朝鮮の建国、各種兵器や軍事技術の提供・援助、朝鮮戦争の参戦や支援など密接不離の関係にあり、かつ核大国であるから北朝鮮のミサイルをさしたる脅威と感じていない。
韓国はといえば、同じ民族に核ミサイル攻撃をするはずがないと思い、ミサイル発射間にわが国の再三の警告を無視して海洋調査船が日本の排他的経済水域を侵犯した。
反日が根底にあるロシア、中国、韓国はわが国が主張する制裁に同調しない。むしろわが国のお手並み拝見、高みの見物をしている感さえある。
民主党の小沢一郎代表は「日米中の関係は正三角形にすべきだ」と述べた。
正三角形の関係になるためには、少なくとも中国並みの軍事力が必要だ。
しかし、専守防衛、非核三原則を唱え、「攻撃的兵器を保有することは、直ちに自衛のための必要最小限度の範囲を超えることとなるため、いかなる場合にも許されない。
たとえば、大陸間弾道ミサイル(ICBM)、長距離戦略爆撃機、攻撃型空母の保有は許されないと考えている」(平成17年版「防衛白書」)などと述べている間に、中国ばかりでなく、北朝鮮にすら対処できない哀れな国家に成り下がり、現時点で、北朝鮮のミサイル攻撃を抑止する手段は米国に頼るしかない。
年間5兆円の防衛費を投入している防衛庁の額賀福志郎長官が、ミサイル防衛(MD)体制が整備されるまでは「いかなるミサイルに対しても国民を守るすべがない」と述べた。
MDが整備されても全弾を撃墜できないので、敵の基地を攻撃できる能力も必要である。防衛庁だけを「省」にしなかった報いだと悟るべきである。

