◆2030年に教会税収入が半減 (世界日報 06/7/25)
“クリンスマン効果”を狙うドイツ福音派教会
ドイツで、カトリック教会と並ぶドイツ二大教派の一つ福音派教会は、メンバーと税収の減少に悩まされている。同教会が発表した長期的見通しによると、劇的な衰退は避けられそうにない。
いかにして教会を復興させるか、具体的なビジョンは示されていないが、クリンスマン監督率いるサッカーのドイツ代表チームが見せてくれた楽観主義と至福を、教会も相続しようと必死だ。
ベルリンのシャルロッテンブルク区にある福音派教会の日曜日午前十時、約三百人収容できる教会にはわずか二十人程度の姿しかない。
アルトハウス牧師は「夏休みで普段よりも信者の数が少ない」と強調するが、満員となるのは一年でクリスマスとイースター(復活祭)だけだと言う。教会員が減る中、「頼りはイベントのレンタル料」と悲観的な見方を示している。
北東部シュトラルズンドのマリエン教会は戦災を免れたものの、老朽化が顕著だ。旧市街地全体はユネスコの世界文化遺産に指定されているが、教会には修復のための予算がなく、工事中の状態が何年も続いている。
時事週刊誌シュピーゲルによると、無神論者が大多数を占める東部では教会の閉鎖が相次ぎ、牧師が二百キ ロ以上離れた教会を掛け持ちしているケースもあるという。
ドイツ福音派教会(EKD)はこのほど、「自由な教会-二十一世紀の福音派教会の展望」と題する長期的見通しを発表した。その中で教会員は現在の二千六百万人から千七百万人に減少すると予測した。現在の三分の二になる計算だ。
最も減少するとみられるのは二十一歳から六十歳の就労年齢層。そのため、教会税収入は現在の半分になると見込んでいる。
財政難に対応するには、現在、全体で二十三ある教区を八から十二まで減らす必要があると指摘した。福音派の牙城である最北のエルベ川北支部はすでに、北東部のメクレンブルクとフォアポンメルンとの合併は避けられない見通しだという。
EKD代表のフーバー大司教は、「高齢化社会に基づく年金・介護保険の増税や物価の上昇は教会に経済的ダメージを与えるであろう」と述べた。少子化の影響で、洗礼を受ける信者数よりも脱会者の数が大きく上回っているという。
ここ数年、福音派教会はカトリック教会よりも脱会件数が多く、教勢数でカトリック教会に逆転された。教会税を払いたくないが故の脱会が多いのも特徴だ。
福音派教会(EKD)の会員数の推移
1990年 2970万人
1995年 2790万人
2000年 2660万人
2004年 2560万人
2030年 1700万人 (予想)
EKDによると、日曜礼拝の参加率は4%しかない。満席となるのは観光地にある教会だけで、参加者の平均年齢は上がる一方だ。
フーバー大司教は偏狭な信仰姿勢と分離主義の傾向を問題視、「パラダイムと発想の転換」を強調する。現代社会における宗教の役割は何か、新たに宗教への関心を高める努力が必要との見方を示した。その上で「霊的復興の大ブーム」が起こる必要性を説いた。
福音派教会は二年に一度、全国信徒大会を開催する程度で、カトリック教会のローマ法王巡礼のような大イベントに乏しいのも現実。
ハンブルクのイェスペン司教は、保守系日刊紙ウェルトとのインタビューで「内面的および霊的な突破が必要」で、「サッカー・ワールドカップ(W杯)と同様なムードが願われている」と述べた。
ルターが宗教改革を始めた東部ヴィッテンベルクで二〇〇七年一月、神学者や社会学者、聖職者らを集めて福音派教会の将来に関する会議を三日間にわたって開催する。
プロテスタント教会の将来のあり方を占う意味でも、重要な会議となる。一七年には、福音派教会はルターの宗教改革五百周年を祝う。

