◆【断】浴衣の着こなし心得よ (産経 06/7/30)
花火大会や縁日があると、街中で浴衣姿をよく見かける。若い男女や子供が日本古来の浴衣を着るのはまことにけっこうなことだが、問題はその着こなしである。私みたいに日常的に着物を愛用している者に言わせると、若者の浴衣姿はまるでなっていない。
まず、目を背けたくなるような色合いと柄の物が多い。浴衣地の基本は白地に紺、または紺地に白である。女の子が朝顔の柄に赤を使うのは可愛いが、その他の色はそぐわないと思う。東京の人間は派手派手しい色の浴衣を着た人を「田舎っぺえ」とバカにしたものだ。
百歩譲って、若い女性がカラフルな浴衣を着るのはよしとしよう。しかし、男性まで派手な色や突拍子もない柄を着るのは許せない。当節は銀座のデパートでドクロや蜘蛛(くも)の柄の浴衣を売っているとか。
江戸の呉服屋の流れをくむ百貨店が、そんな罰当たりな柄の浴衣を売るのだから情けない。浴衣の柄はタトゥーの模様ではないのだ。
場違いな色と柄の浴衣をだらしなく着る。帯を胸高に締めるから天才バカボンみたいに見える。すぐに着くずれして襟元がはだける。中にTシャツを着ている奴もいる。男女かかわらずサンダルを履く。女性は洋服の時と同じように大股で歩くので見苦しい。
本来、浴衣は読んで字の如く風呂上がりの汗取りに着る和製バスローブだ。公式の場に着て行く物ではない。先日、一流ホテルのロビーで、浴衣がけにサンダル履きの“バカップル”を目撃した。出入り禁止にしないホテルもよくない。
私は人前で浴衣は着ない。麻か絽(ろ)の着物を着て白足袋に草履を履く。そのほうが見た目がいい。

