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◆「国」あっての「国際」だ (産経 06/8/7)


【解答乱麻】品川女子学院校長・漆紫穂子

 外交問題、日本語の乱れ等々、教育現場から世の中の動きを見ていると、次世代の日本を迷走させないため、日本人としてのアイデンティティーを確立する教育を行うことが急務と感じる。

 明治期、押し寄せる西洋文化の中、内村鑑三はキリスト教を受容する一方、日本の長所を世界に知らせるため『代表的日本人』を著した。この「異文化を受容する柔軟性」と「日本人としての軸」の両方を伝えること、それが真の国際教育ではないか。

 あるときこんな苦情を頂いた。「電車内で生徒に注意をしたら、『日本人っていやね、イギリスでは…』と友人にささやいているのが耳に入った。どういう教育しているのか」という内容だった。顔から火が出る思いだった。

 10年以上前の話である。国際教育がブームで、多くの学校で国際科が設置され、校名まで○○国際と変更されるような時代だった。本校も将来の「国際人」を育てるべく、英語教育に力を入れ、海外研修を充実させ、それが軌道に乗ったころだった。「インターナショナル」の前に「ナショナル」のない教育ではだめだと強く感じた。

 現在、私たちの学校では「日本を知る」を教育の1つの柱にし、茶道、華道など日本の伝統文化の授業を行っている。華道では素材と素材が生かし合う和の精神に触れ、茶道では所作に込められた思いやりの心を学んでいる。

 6月に着付けの授業を行ったとき、「暑い暑い」と言う生徒たちに、80代の講師が「夏の着物は暑いもの。大切なのは周りの人があなたを見て涼しいと感じること。着物の約束事はすべて周りへの心遣いからできている」と教えると、教室がスーッと静かになった。

 日本古来の衣食住を体験しようと、5月には田植え、7月には新潟県上越市で民泊を行った。都会暮らしの子供たちは、わらじを編みつつ、稲の茎一本無駄にしない昔の人の知恵に目を丸くしていた。

 京都に光華女子学園という伝統文化教育で有名な学校があると聞き訪問した。そこの中学生の文章が心に残った。

 「他国のことを理解する前に自国のことを理解し、そこから大きな世界へと視野を広げられたらどれだけすばらしいことだろうか。私もまず、この国を見つめ直し、この国の文化を自分のものにして、その上で広い視野を持った人になりたい」

 帰り道、たまたま開いた本のページから「日本人」という小見出しが目に飛び込んできた。「平成」の元号の名付け親とされる安岡正篤の言葉だった。
 要約すると、「ナショナリズムが排他的民族主義になるのはいけないが、ナショナリティは大事。これがないと世界性、国際性、宇宙性が出てこない。日本人は日本の個性がある。どこまでも日本人でなければ世界市民になれない」というものだった。

 英語の前に日本語、異文化の前に日本文化。優先順位を見誤ってはいけない。人としての基礎を築く年代に、自分の生まれ育った国について深く学び、将来誇りを持って日本を語り、この国を支えていく。そんな人を育てたい。

                   ◇

【プロフィル】漆紫穂子

 うるし・しほこ 東京都内の私立中から父が理事長を務める品川女子学院中高に移り、国語教諭、副校長を経て4月から現職。文部科学省新教育システム開発プログラム委員。
by sakura4987 | 2006-08-07 08:09

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