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◆【正論】 大東亜戦争の歴史的解釈権は日本国民に (産経 06/8/15)


 東京大学名誉教授 小堀桂一郎


 ■「遊就館」展示への異議に反論す

≪「富田メモ」に見る軽率さ≫

 7月20日付日本経済新聞が特大の扱ひで報じた所謂「富田メモ」の出現をめぐつて、その受けとめ方には報道界を先頭に世間の大半が大きな誤りを犯してゐる。それは、このメモが史料批判の手続を経てをらず、又当の手帳の所有状況から見て今後も厳密な史料批判を加へることは困難と思はれる、本来性格の曖昧な文書であるにも拘らず、既に信憑性を保証された一級史料であるかの如き思ひ込みを以て相対した事である。

 自分の政治的思惑に補強材料として利用できさうなものと見れば、見境ひもなく偽造文書にでもとびつくといふ生態を頻々と露呈してゐる野心的政客ならばともかく、己が公的発言には知的責任が伴ふものであることを自覚してゐるはずの言論人層の一部にさへも、史料的価値の検証を蔑(ないがし)ろにしたままで、先帝陛下の御意向云々を口にし始めた者があるのには実に索漠たる、白けた思ひを禁じ得ない。

 この状況は直ちに、あの昭和57年夏の教科書検定虚報事件の空騒ぎを思ひ出させる。一片の新聞記事を、一歩立止つて考へてみるだけの余裕もなく、無反省に信じ込んで騒ぎ立てた報道界と言論人の軽率が、結果として日本の国益に取返しのつかない損害を与へる醜聞事件を造り出してしまつた、あの手痛い経験を、今からでも熟と思ひ出して反省材料とすべきである。

 今回の「富田メモ」事件が与へてゐる教訓も、所詮は、元来話題にすべきものではない、価値の疑はしい文書に過剰反応して只管(ひたすら)話題性の追求に浮かれてゐる報道界への警告であると見られる。


≪来館者の多くは青年たち≫

 ところで、それとよく似た状況が、同じ靖国神社を舞台としてであるが、祭祀の場としての御本殿ではなく、境内の戦史博物館たる遊就館の展示をめぐつて発生してゐる。

 遊就館は平成14年7月に靖国神社御創立百三十周年記念事業の一環として本館の改修と新館の増築が成り、それを機会に展示内容とその方法にも新たな工夫が加はり博物館としての魅力も格段に向上した。更に平成17年6月には本館の前にラダビノート・パール判事の顕彰碑が建立された事も話題を呼び、青年層を中心にこの博物館を訪れる人の数は大いにふえたと聞く。

 遊就館の展示自体にも言ふまでもなく英霊の顕彰といふ重要な使命が托されてあるが、同時に、日本の近代史の真実の姿を説き明かす、といふ歴史博物館としての教育的役割も期待されてゐるのであるから、若年層を中心とした観客数の増大は端的に結構なことである。又海外からの神社参拝・入館者の便宜を慮つて英文の展示説明も可能な限り付ける様にしてある。


≪理性的判断力ある米知識人≫

 さうなると、観客層の厚みが増した分に応じて展示内容に対する疑問や批判の声が聞えてくることも自然の勢である。今のところ直接管見に入つたのは、産経新聞(7月20日付)で在ワシントンの古森義久氏が紹介してゐる前米国務副長官、アーミテージ氏の〈遊就館の一部展示の説明文は米国人や中国人の感情を傷つける。太平洋戦争の起源などについて日本の一般の歴史認識にも反する記述がある〉云々といふ件り程度であるが、伝聞によれば同じ元国務副長官のタルボット氏にも〈第二次大戦開戦の経緯を不当化してゐる〉云々の不快感の表明がある由である。

 此等海外の知識人の遊就館批判の声を伝へてくれるのは新聞報道の務めとして当然である。だが、ここでも早まつてはいけない。新聞の使命はこの様な異議を世に伝へるところまでで十分であつて、直ちにそれに反応し、〈日本側も再考すべきだ〉(アーミテージ氏談)との要請に応じて動き出す様な軽率は厳に戒むべきこと、「富田メモ」の場合と同じことである。

 国史の一章としての大東亜戦争についての歴史解釈権は日本国民の手にある。アメリカ史の一部としての太平洋戦争開戦の経緯の解釈権はアメリカ人の手にある。双方の国民が当然の権利を行使しての解釈の結果が相容れないのは是亦当然である。一致するくらゐならそもそも戦争になどならなくても済んだ。

 第一、〈日本の一般の歴史認識〉(東京裁判史観)に反する歴史解釈が打出されたについては、平成7年に広がり始めたアメリカ上院でのマッカーサー証言(1951年)の意義の認識、同じ年のヘレン・ミアーズ著『アメリカの鏡・日本』の新訳の反響が大きな推進力となつてゐること、理性的な判断力を持つアメリカの知識人ならば、やがて理解するだけの精神の自由を保有してゐるであらう。
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by sakura4987 | 2006-08-17 10:45

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