◆【英国週間経済動向】サウジの戦闘機大口購入に沸く
サウジアラビアが英国など欧州四カ国が共同開発した多目的戦闘機「ユーロファイター・タイフーン」七十二機を購入することがこのほど明らかになった。追加の受注が予想される中、英防衛産業などは今回の大口注文に沸き上がっている。
英紙フィナンシャル・タイムズなどによると、サウジの七十二機購入については、英・サウジ両国の国防相が合意書に調印済み。詳細は明らかにされていないが、ミサイルや装備品なども含めて合計百億ポンド(約二兆二千億円)規模となるという。
ユーロファイターは英、ドイツ、スペイン、イタリアの四カ国が共同開発。各国から部品などが持ち寄られ、最終的には主要メーカーである英BAEシステムズが組み立てを行うことになるため同社の受ける利益が最も大きく、英の専門家は「その利益は全体の三分の二に達する可能性がある」と予想する。
現在、ユーロファイターを売り込む上でライバルとなる主要な国は米国とフランス。これまでオーストリアに十八機の売り込みで成功したものの、シンガポールへの納入をめぐっては仏ダッソーの「ラファール」、米ボーイングの「F15」と争った結果、システムが要求を満たせず、「対象外」とされたこともあった。
今回のサウジからの大型受注で、ユーロファイターへの信頼が強まるのは間違いないとみられ、BAEや関連企業は期待を強めている。BBCによると、現在ノルウェー、ギリシャ、トルコがユーロファイターに関心を示しており、BAEなどはサウジの実績を基に売り込みの攻勢をかけたい構えだ。(ロンドン時事)