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◆ワシントン 古森義久 「副大統領筋が謀略」の無根 (産経 06/9/9)


 米国での大手マスコミの政治党派性についてはいつも意識して、そこから発せられる「情報」を額面どおりに受け取ることの危険を何度も報道してきたが、今回のケースほどその種の偏向をまざまざとみせつけた実例もまずないと感じた。

公正を内外に向けて唱える米国の国政レベルで大手マスコミがからんでこれほど奇怪な現象が起きるとは、信じられないほどである。

 「ホワイトハウス、とくにディック・チェイニー副大統領とその側近はイラク戦争に反対するジョセフ・ウィルソン元ガボン駐在米国大使の妻バレリー・プレイム氏のCIA(中央情報局)秘密工作員としての身分を違法に一部ジャーナリストに明かした。ウィルソン氏のブッシュ政権の政策への反対表明に報復する悪質な機密情報漏洩で、プレイム氏に生命の危険をももたらす謀略だった」

 こうした趣旨の報道がワシントン・ポストやニューヨーク・タイムズをもうここ3年ほどもにぎわしてきたことは日本でも広く知られている。これら報道は「疑い」とか「とみられる」という表現で完全な断定に留保をつけながらも、実質的には副大統領筋による「漏洩」や「謀略」を断じていた。

 日本でもこの情報はつい最近まで「CIA情報漏洩疑惑 副大統領、進退問題も」(朝日新聞2005年10月29日)というような形でふんだんに伝えられた。 

 「情報の漏洩には副大統領も関与していたと指摘され」(同)とか、「ルイス・リビー副大統領首席補佐官が(ウィルソン元大使のブッシュ政権非難に)激怒、ウィルソン夫人がCIA工作員であるという機密情報を漏らしたといわれる」(同)というふうに、副大統領筋による謀略工作を事実上、認定していた。

 朝日新聞の報道を実例にあげたのは、同紙が米国の大手マスコミのブッシュ政権批判、民主党リベラル寄りに最も頻繁に同調し、同政権についてのネガティブな報道の転電、あるいはその種の報道や論評への依拠が他の日本のマスコミよりも多いからだ。

 ちなみに産経新聞もこの件は報じているが、「副大統領筋による謀略」という点はずっと慎重かつ抑制して、扱ってきた。

 結果としてはその対応が正しかったようだ。なぜならこの謀略説は米側でいまや事実無根だと断じられるようになったからである。

 そもそもの騒ぎの発端はベテランのコラムニストのロバート・ノバック氏が03年7月にワシントン・ポストなどのコラムに「ウィルソン元大使の妻プレイム氏はCIA工作員だ」と書いたことだった。ブッシュ政権の高官からこの情報を得たとしていた。

 この直後からその機密情報をノバック氏に流したのはチェイニー副大統領管轄下のリビー氏かブッシュ大統領最側近のカール・ローブ次席補佐官だろうという推測が広まり、共和党非難の傾向の強い大手マスコミに載るようになった。

 さらに04年6月にはウィルソン氏自身がニューヨーク・タイムズへの寄稿文で「私たち夫婦を壊滅しようという謀略は副大統領府内部で作られ、実行されたことは間違いない」と断言し、リビー氏らがプレイム氏のCIA職員身分を明かした「容疑」はますます濃くなった。

 この時点ではすでに議会民主党などの要請でこの「機密情報漏洩」に対する特別検察官が任命されていた。同検察官は昨年10月にはリビー氏を偽証罪などで起訴した。ただし検察は同氏がプレイム氏の身分を違法に明かしたという点は証明できなかった。

 そしてこの8月下旬、民主党寄りの調査報道記者らによって「プレイム氏がCIA工作員であることをノバック氏に明かしたのはリチャード・アーミテージ前国務副長官だった」という新しい結論が打ち出された。

 大手マスコミも独自の取材でその新事実を確認した。アーミテージ氏はプレイム氏とCIAのつながりをとくに機密だとも意識しないまま、その情報をノバック氏に告げたというのだ。「副大統領筋による謀略」という説はデマだったのである。

 ウォールストリート・ジャーナルは「アーミテージさん、白状しなさい」と題する社説を掲げた。ワシントン・ポストも「事件の終わり」と題して、「CIA工作員の身分を暴露した人は副大統領側近だとするウィルソン元大使の非難は虚偽だった」と認めた。

 「大統領の側近たちが違法な謀略をはかったという非難も無根だと判明した」とも述べた。

 日米関係を強固にし、日本では人気の高いアーミテージ氏だが、米国では「自分が秘密を明かし、そのことの嫌疑を同僚たちが受けているのに平然としていた罪は重い」(ウォールストリート・ジャーナル社説)という批判がいま高まってきた。

 日本側でも、党派性の強い米国大手マスコミの誘導報道には十二分に気をつけるべきだ、という教訓となるだろう。
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by sakura4987 | 2006-09-09 07:44

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