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◆松島悠佐 軍事のはなし (19)情報収集衛星


 9月11日、情報収集衛星(第3基目・光学衛星)が打ち上げられ、既に03年3月に打ち上げられた2基(光学衛星1基、レーダー衛星1基)の情報収集体制がわずかながら強化されました。

本来の計画ではレーダー衛星2基と光学衛星2基の計4基で1日1回、地球のどの部分でも偵察できることを目標としていましたので、今年の末か来年の初めに打ち上げ予定の第4基目(レーダー衛星)を加えて、初めて当初予定した体制が出来上がります。

 しかしこの情報収集衛星はいわゆる軍事用の衛星ではなく、安全保障のほか災害情報など総合的な情報収集を目的とした汎用の多目的衛星で、米軍などの軍事衛星と比べると性能が大分劣っています。米軍の軍事衛星は、数cmの映像分解能力があるといわれていますが、わが国の情報収集衛星は60cmほどの分解能力のようです。

 また、米軍では国防省の管轄下で運用され、例えば先般の北朝鮮のミサイル発射の事態には、そこに焦点を当てて発射の解明に努めますが、わが国の場合には内閣府が管轄し、防災など一般的な目的に照らして運用していますので、軍事的な情報収集は難しいのが実態です。

 これでは北朝鮮のミサイル発射や中国の軍拡・海上権益の拡大など、必要な軍事情報を得ることは難しく、結局米軍の情報に頼らなければならないのが現状です。

 わが国の情報収集衛星は、98年の北朝鮮テポドン・ミサイルの発射を契機にして導入が検討されましたが、わが国では「宇宙利用は平和目的に限定する」との国会決議(69年)や、「自衛隊の衛星利用は商用技術の水準にとどめる」との政府見解(85年)の制約を受けて、多目的衛星の導入がやっとの状態でした。

 ただ当時から、防衛庁の担当者の意見としては「多目的衛星では性能が劣っているうえに、総理府(当時)が防災などの一般目的で運用することになれば、軍事上必要な情報収集・偵察には役に立たないおそれがある。静止衛星として定点で常時監視できる早期警戒衛星と、周回衛星として目的地上空を飛行して情報収集する偵察衛星の両方がないと軍事情報は得られない」との意見が強かったのですが、当時の小渕総理・額賀防衛庁長官も国会決議や政府見解の諸制約の中で、汎用で止むをえないとの結論になったようです。

 しかしながら、「この情報収集衛星では軍事情報は取れない」のは事実であり、衛星による軍事情報収集能力が必要ならば、国会決議や政府見解を見直して、自衛隊に軍事用の情報収集衛星持たせる必要があるとの基本的な認識は、与党自民党の中では、水面下で尾を引いてきました。

 わが国の弾道ミサイル防衛網の整備も今年度から具体的に始まり、また米軍の再編、特に弾道ミサイル防衛体制の構築も、弾道ミサイル迎撃能力を持った米海軍イージス艦の配置やパトリオット迎撃ミサイルの沖縄配備など目に見えるようになってきており、自民党は今年の春ごろから宇宙利用についての基本法案のまとめの作業を急いでいた様です。

 その概要は、9月17日の読売1面に掲載されていますが、防衛目的の衛星打ち上げを容認し、早期警戒衛星や偵察衛星を保持して、軍事情報を取れるような体制を作ることを盛り込んでいるようです。

 国会審議は新内閣の下で行われることになりますが、前回の「軍事のはなし」でも書きましたように、新内閣が基本を正す理念で対処してくれることを期待しています。

 これが実行に移されれば、宇宙利用・開発の大きな変革になりますが、それにしても98年の北朝鮮テポドン発射から10年近くになります。7月4日の北朝鮮弾道ミサイル発射の時にも、大きな反省事項になっていましたが、事態に対する反応が鈍く、問題点を是正するのにも少々時間が掛かりすぎるのが気になります。
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by sakura4987 | 2006-09-22 16:40

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