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◆M5ロケット打ち切り/伝統の固体燃料技術の相続か

コスト高問題視かで分かれた各紙  M5技術惜しむ産経

 秋分の日の先月二十三日、国際協力の太陽観測衛星「ソーラーB」(「ひので」と命名)を載せたM5ロケット7号機が打ち上げに成功、同衛星を予定通りの軌道に乗せた。

 M5ロケットは今回の打ち上げが最後。こうした事情から、新聞の扱いは「ソーラーB」衛星よりも、このM5終了後のロケット開発がどうなるか、またどうするかに重点を置く書き方となった。

 この問題で翌二十四日付で社説を掲げた四紙の見出しは次の通り。

 読売「最後のM5/迷走するロケット開発政策」、朝日「ロケット/必要なものに絞って」、毎日「M5ロケット/宇宙探査支える技術の継承を」、産経「最後のM5/固体ロケットの技術保て」――。

 これからも想像できるように、論調に相違が見られる。毎日、産経はM5ロケットを評価し、M5そのものはコスト面から難しいとしても、「ここまで育てたロケット技術をぜひ、今後の宇宙技術に生かしてほしい」と訴える。

 M5は固体燃料を使ったロケット。固体燃料ロケットは日本の宇宙開発の出発となった一九五五年のペンシルロケットに始まる。以後、「ラムダ・ロケット」に引き継がれ、七〇年には日本初の人工衛星「おおすみ」の打ち上げに成功。その後も、小惑星探査機「はやぶさ」、火星探査機「のぞみ」など多くの惑星探査機を打ち上げ、「科学衛星による宇宙研究は日本のお家芸」(産経)といわれるほどに伝統ある技術である。

 それが、今回最後となるに至ったのはコストの割高さのためである。一回の打ち上げ費用は約八十億円。「米国の液体燃料ロケットなら、同じ衛星を半額で打ち上げられる」(読売)。液体燃料を使う日本の基幹ロケットH2Aと比べても、「打ち上げ重量当たりのコストは5倍近い」(同)。性能の面でも、振動が大きいなどの指摘もあったという。

迷走の暇なしと読売

 こうした点から、読売は「惜しむ声もある。だが、M5が抱える問題を考えれば、致し方ない」という立場。もともと、M5ロケットは旧文部省の宇宙科学研究所が開発。一方で、旧科学技術庁の宇宙開発事業団では当時、H2Aの先代ロケットH2を開発中と、縦割り行政の下で二種類の大型ロケット開発が進められた。しかし、「2003年に両組織が統合して状況は変わった」(読売)。惑星探査へもH2Aを活用し、今夏にはM5の退役を決めた。

 問題は、読売が指摘するように、「その後をどうするか、ロケット開発の総合的な方針が、はっきりしない」ことだ。

 確かに、固体燃料ロケットとしては大型のM5は今回でやめ、低コストの小型ロケットを開発する計画はある。これによって、大型はH2A、中型は現在官民で開発中のGXと合わせ、大中小の三種類のロケットがそろうことになる。

 この計画は、最近の衛星の国際的な需要動向が大型衛星から小型衛星へとシフトしつつある現状を考慮するなら、選択として間違ってはいないだろう。

 読売は、小型ロケットの「性能や打ち上げ方式などが決まらない。載せる衛星も未定だ」、だから「放っておけば、M5までの開発で培われた固体燃料技術も失われる。迷走している暇はない」と半ば急がす。

 ただ、同紙も指摘するように、十年前に統合前の宇宙研と事業団が共同で固体燃料のJ1ロケットを開発したが、コスト高のため一回限りの打ち上げで中止になった例がある。読売の言うことは尤(もっと)もだが、拙速は避けたいというのが宇宙関係者の思いではなかろうか。

矛盾した注文の朝日

 この点、コスト面から厳しく見るのが朝日。同紙は「米国や欧州並みの豪華な品ぞろえだが、果たしてそこまでする必要性や財政の余裕があるのか、大いに疑問がわく」と指摘する。

 同紙は、H2Aのほかにもう一種類、扱いが簡単で、小さい衛星の打ち上げに向く固体ロケットを持つことは必要だろうと、認めながら、「新型ロケットの開発は、決して容易ではな」く、「開発中止も含めて見直す必要がある」と説く。それでいて、最後段に「長年の研究と開発経費をかけたM5ロケットの技術も、しっかり生かしてもらいたい」と、それまでの主張とは矛盾した注文をつける。では具体的にどうすべきか、という点で何が言いたいのか分からない社説である。

 固体燃料ロケットに関しては、これがミサイル技術に通じ、この技術を持つことが周辺諸国に対して抑止力になると指摘する専門家もいる。四紙とも、この点には触れていない。

 今、自民党では宇宙開発を、単に科学探査、宇宙技術の取得だけでなく、安全保障や外交を含めた重要な国家戦略の手段としてとらえる宇宙基本法が検討されている。新聞にも、そうした広い視点が求められているのではないか。
by sakura4987 | 2006-10-02 08:08

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