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◆「主張する外交」に求められるもの (産経 06/10/24)

【正論】多摩大学学長・中谷巌 

 ■まずは日本という国の信頼獲得


 ≪「日本ブランド」の確立を≫

 安倍政権が発足早々厳しい外交課題に直面している。北朝鮮の核実験に対し、素早く独自制裁を打ち出し、国連の安全保障理事会で全会一致の制裁決議を実現させる過程の動きは評価してよいだろう。しかし、私はここでもう少し長い目でみた外交の指針についてふれてみたい。

 それは国際社会において確固たる「日本ブランド」を確立することである。「日本を品位ある信頼に足る文化国家に仕立て上げる」ということである。

 これまで日本には、国際社会での自己主張が苦手で、戦略的に立ち回れない「顔の見えない国」との批判が多かった。安倍首相も今国会の所信表明演説において、「主張する外交」を展開することを表明した。

 しかし、ここは注意が必要である。何でも声高に主張するというのは日本の体質に合わない。日本が中国のように、国際舞台において必要以上に戦略的に振る舞おうとすると、力みすぎて失敗する。かつての国際連盟脱退などは日本が力みすぎて失敗した好例であろう。日本はアメリカや中国のように、戦略的に自国を国際社会に売り込み、それによって大きく得点を稼ぐといった外交はお国柄としてできないと見た方がよい。

 幕末の思想家、横井小楠は「世界情勢を概観するに、いま外国と戦争した場合、日本は全滅することを免れない。日本はここで第二のインドになるか、世界第一等の『仁義』の国になるか選択をせまられている。この時にあたって日本は、『強国』になるのではなく、『此道』を明らかにして、『仁義の大道』を世界に広める存在になるべきである」(1857年)と語ったと伝えられる。

 東京大学の山内昌之教授によれば、横井は日本にとって不利な国際情勢を逆手にとりながら、世界に通用する倫理を発信できる新たな文化国家を目ざす国づくりを唱えたのであった。


 ≪短期の利益追求は危険も≫

 日本は日本らしく、目立たなくても地道に国際社会に貢献する努力を積み重ね、時間がかかっても日本の良さが世界の人々に自然に浸透するようになることを目指すべきであろう。大向こうを唸らせるような大仰な戦略的行動で一気に得点を稼ごうとするのではなく、一つ一つ地道に為すべきことを実直に実行していくという姿勢こそ、日本人には向いているからである。

 もちろん、このことは何も主張するなということではない。国際社会において主張すべきことを主張し、相手国の戦略にはまらないような配慮も必要である。それは、今回の「北」の核実験にからむ外交でも同じだ。ただし、それが国の品位を汚すような、権謀術策にまみれたものであってはならない。

 「そんな悠長なことでは国益が損なわれる」と危惧する向きもあるだろう。しかし、国益にとって重要なのは長期にわたる国のブランド(信用力)であって、短期の利益のみを追いかけることはしばしば危険である。

 「商品の競争力は、商品自体の『中身』とそれをいかにうまく売るかという『マーケティング力』によって決まる」という経営学の定石がある。短期的に最も効率的なのは、商品自体はコストをかけていない普通の代物であるが、売り方がうまいためにぼろもうけをするというやり方である。これはこれで一つの商売である。

 しかし、この商品が長期の「ブランド商品」に成長するかというと話は変わってくる。商品力がないのに、販売力だけで売れる商品はやがて消費者に見放されるだろう。


 ≪名誉ある地位築くために≫

 とくに国の評価ということになると、短期的成功は化けの皮がはげやすい。なぜなら、商品と違って国は永続するものだからである。どんなに戦略に長け、国際的な発信力があったとしても、国の実力が伴わなければやがて化けの皮がはがれるであろう。

 国際的な発信力が不必要とまで言うつもりはないが、中身がないのに発信力だけで得点を稼ごうとする姿勢では、国際社会で名誉ある地位を築くことは難しい。まずは自国の中身を充実させることに重点を置くべきなのだ。

 消費者から信頼されるブランド商品は、地道な商品開発力に裏付けされていなければならない。同様に、日本が信頼される国家として「日本ブランド」を確固たるものにするには、なによりも多方面にわたる地道な努力の積み重ねが不可欠である。

 ブランド構築には何十年もかかる。しかし、それを失うには一日あれば十分なのである。
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by sakura4987 | 2006-10-25 11:59

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