◆エジプト、原発建設を計画 米・イスラエル容認 (朝日 06/10/31)
http://www.asahi.com/international/update/1031/010.html
エジプトが民生用の原子力発電所の建設を計画し、ムバラク大統領が近く、ロシアと中国を訪問して協力を要請する。中東では反米国家イランの核開発が米国を中心とした各国の強硬な反対を受け国際問題となる一方、親米路線を取るエジプトの原発計画は米国、イスラエルとも容認している。
計画では、首都カイロの北西約300キロの地中海岸ダバーに、出力1000メガワットの発電所を10年以内に建設する。費用は約15億ドル(約1700億円)の予定で、国外からの資金導入も計画している。
ムバラク大統領の次男で、次期大統領の有力候補とされる与党国民民主党政策委員長のガマル氏が、9月の党大会で発表した。大統領は11月1日からロシアと中国を訪れ、協力を求める。
エジプトは50年代から原発研究を進めてきたが、86年のチェルノブイリ原発事故後、計画を凍結。石油・天然ガスの火力発電と、ナイル川の水力発電で需要をまかなってきた。エジプトでは水力はこれ以上の開発が難しく石油資源も乏しい。電力需要は年7%前後で伸びている。
米国のリチャルドーネ駐エジプト大使は「米国は原子力の平和利用を推奨している」。イスラエルのオルメルト首相も「計画は平和利用であり軍事的脅威にはならない」と語り、ともに容認する考えを示した。
一方、エジプトの野党系紙は「水質汚染も防げない政府に核汚染が防げるのか」(カラマ紙)など、環境面や資金面の懸念を指摘している。
エジプトでは、ガマル氏の「世襲」に反発も強い一方、パレスチナのイスラム過激派ハマスとつながりの深いイスラム団体「ムスリム同胞団」が影響力を増している。原発を保有した後も現在の体制と親米路線を維持するかどうかは不透明な面もある。
エジプトは核不拡散条約(NPT)加盟国で、イスラエルの核保有を前提に、イスラエルのNPT加盟や「中東非核化」を求めてきた。