◆少子化対策 財務省「児童手当効果なし」 厚労省の増額要求けん制
(北海道 06/11/03)
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20061104&j=0023&k=200611033577
財務省は二○○七年度予算編成で、児童手当が「出生率の引き上げに効果を上げていない」として、厚生労働省の増額要求をけん制している。
少子化対策は安倍晋三政権の重要政策の一つだが、児童手当をやり玉に挙げる背景には、いかなる予算も歳出削減の聖域としないことをアピールする狙いがあるとみられる。
「児童手当が増えれば出生率が減るというマイナスの相関関係にあるのではないか。児童手当制度を続ける効果のチェックが必要だ」。
十月末の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)で、複数の委員が少子化対策としての児童手当の効果に疑問を呈した。
地方自治体の負担分も含めて児童手当給付総額は一九九九年度まで千数百億円だったが、二○○○年度以降急速に増え、○六年度は八千五百八十二億円と十年前の五倍以上に膨れ上がった。
その一方で、合計特殊出生率はこの十年で、1・42から1・25(○五年)に落ちている。
財務省は財政審で、欧米の例を引きながら、児童手当や出産育児一時金、就学前教育費助成などの額を増やしても出生率の上昇に直結しないと説明。
都道府県別のデータで、県民所得が低くても出生率が高い地域があることも報告した。
同省は先に、幼稚園児の保護者負担を軽減しても出生率の上昇につながらないとする独自調査も発表している。
少子化対策を推し進める厚労省は、○七年度概算要求で同対策関連予算として前年度当初予算費7・3%増の一兆四千億円を計上。このうち児童手当には同2・2%増の三千四百四十五億円を要求している。
これに対し、財務省は「少子化対策としてお金を支給されても、自分たちの楽しみに使ってしまう親もいる」(主計局)などとして、少子化対策関連予算の圧縮を図る構えだ。