◆韓国・盧大統領、「包容政策」継続を宣言 金剛山観光・工業団地の交流
(産経 06/11/07)
韓国の盧武鉉大統領は6日、国会の施政方針演説で、金剛山観光と開城工業団地の南北交流事業を続ける方針を明言した。
現金が北朝鮮に渡る2事業は米国や国内保守派から中断や見直しを求める声が出ていたが、盧大統領は北朝鮮の6カ国協議復帰への合意を受けて「包容政策」の継続を改めて宣言した格好だ。演説は韓明淑首相が代読した。
演説で盧大統領は核実験を「朝鮮半島の非核化を実現しようという韓国や国際社会の努力を拒絶する許せない挑発」と非難する一方、両事業については「朝鮮半島の平和と安全の象徴」だとして「国連安保理決議の精神と趣旨に合う方向で継続する。どのような状況でも北朝鮮との対話が途切れないようにすべきだ」と強調した。
任期が1年余の盧武鉉政権は、野党から次期大統領選への立候補が相次ぎ、政界流動化のただ中にある。
そこに北朝鮮の核実験で、盧政権の根幹である南北政策が批判にさらされ、先週は外交安保閣僚4人を一挙に替える改造人事を断行、体制の立て直しにかかっていた。
韓国は10月中旬の安保理決議後、2事業の扱いを先送りし続けた。金大中前政権から引き継いだ太陽政策の象徴である同事業を「制裁」として中断、あるいは見直しを実行すれば北朝鮮の猛反発は必至で南北関係は決定的な打撃を受ける。
それは盧政権の基盤を揺るがすだけでなく大統領選への盧陣営の影響力にも波及する。北の6カ国協議復帰への動きは盧政権を大いに救ったかたちとなった。
南北関係はミサイル連射後、閣僚級会談が事実上、中断し、政治対話は途絶えている。
韓国側がミサイル連射でコメと肥料支援を中断したためだが、今回の演説では「対北包容政策は速度の調節が必要」などとも述べており、支援再開にも前向きな姿勢を示唆している。
また、演説で盧大統領は、北朝鮮が復帰を表明した6カ国協議について「(協議の)進展は順調ではないだろう。核問題が完全に解決されるまでは多くの時間が必要だ」との見通しを示した。