◆党首討論 「抑止論と武装論は別」核論議、首相改めて容認 (産経 06/11/09)
安倍晋三首相と民主党の小沢一郎代表は8日、2回目の党首討論に臨み、核論議などについて論戦を交わした。首相は「非核三原則」堅持の立場を強調しながらも、核をめぐる安全保障問題の議論を行うことに理解を示した。
討論で、小沢氏は、自民党の中川昭一政調会長や麻生太郎外相による核論議の提起を「核武装の論議」と指摘。
これに対し、首相は「政策論として(核保有などは)永久に放棄すると宣言している」としたうえで、「北朝鮮が核実験をした中で、抑止力をどうするかの安全保障議論に触れたことが大問題というのはおかしい」と反論した。
さらに、首相は「核をめぐる議論すらしてはいけないというのは言い過ぎだ」と述べ、政治家個人の核論議を改めて容認する考えを示した。
それでも「首相は(閣僚や党幹部に)発言を慎むように指導すべきだ」と食い下がる小沢氏に対し、首相は「小沢氏も日本は数千発の核弾頭を作る能力を有すると言ったことがあり、鳩山由紀夫幹事長も国会で(核の)議論ができないのはおかしいと言っていた」と指摘し、小沢氏の発言の矛盾を突いてみせた。
また、首相は教育基本法改正案について「いじめや(必修科目の)未履修問題に対応するために必要な理念、原則をすべて書き込んでいる」と述べ、成立に向けた民主党の協力を求めた。
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■「発言、一時控える」中川政調会長
自民党の中川昭一政調会長は8日、都内で講演し、自らが提起した核論議について、北朝鮮の核をめぐる6カ国協議や中間選挙の結果による米国の対北朝鮮外交の変化の有無を見極めることなどを理由に「2~3週間は今までと同じような発言を控え、状況を見守りたい」と述べ、今後発言を自重する考えを示した。
核論議をめぐっては、自民党の二階俊博国対委員長らが中川氏に自制を求めるなど自民党内でも賛否が二分していたが、中川氏は「高度に政治的、外交的、安全保障的の観点から発言しないこともある。私の発言がいろいろ言われることを恐れて控えるのではない」と述べ、あくまでも国際情勢への配慮であることを強調。同時に「政調会長である私が安倍内閣に迷惑をかける発言はしてはならない」とも述べた。
これを受けて、公明党の太田昭宏代表は同日、国会内で記者会見し、「発言を控えるのは結構だ。非核三原則は過去に積み上げてきた国是であり、日本の方向性を含む哲学だと申し上げたい」と述べた。
核論議をめぐる問題は、中川秀直幹事長が7日夜、太田、二階両氏、古賀誠元幹事長と都内で会談した際も話題となり、太田氏は核論議を早急に収拾するように強く要請。古賀、二階両氏も同調したという。
一方、自民党の山崎拓元副総裁は8日、都内で講演し、「政権内不統一だ。どうしても議論をしたいなら職を去ってやれ」と述べ、中川氏らの辞職を要求。安倍首相についても「発言をやめさせるか、職責を辞めさせるかのどちらかだ。かなえの軽重を問われる」と批判した。