◆台湾2市長選 総統信任投票の様相 夫人起訴で一変 (産経 06/11/10)
2008年総統選の前哨戦といわれる台北、高雄両市長選の投票(12月9日)まで1カ月を切った。陳水扁総統夫人が総統府機密費不正流用疑惑で起訴された影響で与党・民進党は苦戦を強いられている。
与党内にも陳総統への不満がくすぶっており、両市長選は陳政権への“信任投票”の様相を呈し始めた。
届け出が締め切られた先月中旬、台北市長選は第2野党、親民党の宋楚瑜主席の出馬で野党が分裂し、民進党の謝長廷候補に有利とみられた。
高雄市長選は、与党連合を組む民進党と台湾団結連盟(台連)が候補者を一本化できなかったため、民進党による同市長選3連勝が微妙な情勢になっている。
だが、呉淑珍総統夫人の起訴で選挙情勢は一変した。
身の潔白を主張した5日の総統演説を受け、民進党は総統擁護の方針を機関決定。野党は24日に第3次罷免案の表決に持ち込むが、民進党は禁足令を敷いて成立阻止を図るため、罷免案は否決される公算だ。
しかし、政権に向けられる世論は依然として厳しく、民進党の一部には「望みなき延命治療は有権者の不信を増幅し党の疲弊を生む」(関係者)との声も根強い。
台湾紙・聯合報が起訴直後に実施した世論調査によると、台北市長選で国民党の●龍斌候補の支持率が44%と、民進党の謝氏(15%)を大きく引き離した。
高雄市長選でも民進党は国民党を追い切れず、15ポイントも引き離されている。
国民党幹部の一人は「総統は陣営内から責任を問われる事態も予想され、これが来年末の立法院(国会)選と次期総統選への流れをつくるだろう」と分析する。
●=都の者を赤に