◆米軍離着陸訓練、岩国180キロ圏外に移転…政府方針 (読売 06/11/12)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20061112i101.htm?from=main1
在日米軍再編の一環である米海軍厚木基地(神奈川県)の空母艦載機の移駐に関して、政府は11日、艦載機による夜間離着陸訓練(NLP)などの恒常的施設について、艦載機の移駐先である米海兵隊岩国基地(山口県)から約180キロ圏外で新たに選定する方針を固めた。
瀬戸内海や九州北東部などに適地がない、と判断した。
近く、米側に正式に伝えた上で、今年度末をめどに、九州南部を含む広域から複数の候補地を提示したい考えだ。
厚木基地の米空母艦載機は現在、暫定的に東京・硫黄島でNLPなどの訓練を実施している。
しかし、硫黄島は基地から遠い上、途中には故障した際の不時着場所がないこともあって、米政府は、恒常的な訓練施設の設置を日本側に求めている。
日米両政府が5月にまとめた在日米軍再編の最終報告では、艦載機を2014年までに岩国基地に移駐させると明記する一方で、訓練施設については「2009年7月またはその後のできるだけ早い時期に選定することを目標とする」とするにとどめていた。
米側は最終報告の取りまとめ前、岩国基地を訓練施設とするよう提案したが、日本側から地元の反発などを理由に拒否されたため、「岩国基地から約180キロ(100カイリ)圏内」で選定するよう要求していた。
通常、艦載機が1時間30分程度飛行可能な量の燃料を搭載して基地を発進した場合、約180キロ圏内に訓練施設があれば、10回余りの離着陸訓練をして帰還できることから、「約180キロ圏は訓練に適した効率的な距離」(自衛隊幹部)とされる。
政府は11月までに、岩国基地の180キロ圏内にある訓練施設の候補地として、2003年に訓練の誘致構想が一時表面化した瀬戸内海の無人島・大黒神(おおくろかみ)島(広島県)や航空自衛隊築城(ついき)基地(福岡県)などを検討した。
しかし、地元の反対や地形的な制約を踏まえ、いずれも訓練地として適切ではないと判断した。
政府は、地域を広げて、候補地を選定することにしている。候補地については、〈1〉周囲に急峻(きゅうしゅん)な山がない〈2〉近隣住民に対する騒音被害が少ない〈3〉天候が1年を通じ比較的安定している――などの条件が求められており、今後の選定作業は難航することが予想される。