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◆「一人負け」の日本 (田中 宇 HPより)


2006年11月16日  

http://tanakanews.com/g1116japan.htm

 北朝鮮は10月9日に核実験を実施したのに、アメリカは11月7日、韓国と話し合って、北を核兵器保有国として認めないことを決め、日本にも同じ姿勢を採らせることにした。(関連記事)

 アメリカは北朝鮮が核実験の挙行を発表した後、核実験によってしか発生しない放射性物質を、北朝鮮周辺の上空でのサンプリング調査で見つけ、北は確かに核実験した可能性が高いと発表している。つまり、アメリカは北が核実験を実施したことは認めた。しかしアメリカは、これによって北が核兵器を保有したとは認めないことに決めた。


▼北の核武装を黙認するアメリカ

 アメリカが北を核保有国として認めないことにしたのは、10月9日の北の核実験が100%の成功ではなく、起爆のタイミングを合わせることに失敗し、用意した核物質の一部しか核分裂が起こらなかった可能性が高いという、技術的な認識の問題として考えることもできる。(関連記事)

 だが、それより重要なのは、もしアメリカが北朝鮮の核実験を成功と認識し、あとは核弾頭をミサイルに載せるだけの問題になってしまうと、アメリカはのんびり6カ国協議で解決を目指すのではなく、先制攻撃とか、厳しい本気の経済制裁とかをやらねばならなくなるという政治的な認識の問題である。

 北を核保有国として認めると、核兵器不拡散の体制が崩壊したことを認めることにもなる。北の核武装は、ブッシュ政権が北との直接交渉を拒否した結果なので、ブッシュの責任になってしまう。

 責任回避の意味でも、アメリカは北を核保有国として認めないことにしたのだろう。核保有国は、抑止力を持った攻撃しにくい国として認識されるので、アメリカはそのようなお墨付きを北朝鮮に与えたくないということもあったようだ。

 北朝鮮は、アメリカからお墨付きこそもらわなかったものの、核実験をしてもアメリカから空爆されず、経済制裁もおざなりのもりですむという「無罪放免」の状況を得ることになった。アメリカは、北朝鮮の核武装を黙認したのである。

 ブッシュ政権の匿名の高官は、最近も「アメリカとその同盟国は、いずれ北朝鮮やイランの核施設を先制攻撃するかもしれない」といった話を米マスコミに流している。記事に明言されてはいないが、イランを攻撃するかもしれない同盟国はイスラエルであり、北朝鮮を攻撃するかもしれない同盟国は日本である。(関連記事)

 こうした記事は「アメリカが日本を誘って北朝鮮を先制攻撃するかも」という見方を誘発するが、実際には、アメリカはイランを攻撃する可能性はあるが、北朝鮮を攻撃する可能性は、状況から見てほとんどゼロである。

 先制攻撃の対象として、北朝鮮の名前が挙がったのは「まだ核武装まで数年以上かかるイランを先に攻撃して、すでに核実験をやった北朝鮮を許すのはおかしい」という国際世論をかわすための「当て馬」でしかない(イランへの先制攻撃はイスラエルが望んでいる)。


▼6カ国協議は多極化のため

 アメリカが北朝鮮を核保有国として認めないことを決める少し前の10月31日、アメリカの代表は中国側も交えて北朝鮮側と北京で会い、この席上、北朝鮮は再び6カ国協議に参加することを表明している。

 アメリカが北を核保有国として認めないという黙認の態度を決めたのは、その約1週間後であり、北が6カ国協議に参加する表明をした返礼として、アメリカは北の核武装を黙認することにしたのだとも考えられる。(関連記事)

 よく考えると、この相互譲歩には根本的な矛盾がある。6カ国協議は、北に核武装をやめさせるための交渉である。北が核実験を挙行したことは、核武装にほぼ成功してしまったことを意味しており、いまさら6カ国協議を開く意味は減っている。

 アメリカは、北を核武装していないことにして、6カ国協議の開催こそが重要だと言い続けているが、これは全くの自己欺瞞である。

 しかし裏を読むと、これは矛盾ではない。私は以前から「アメリカが6カ国協議を開きたがるのは、北の核武装を止めるためではなく、北の問題を中国や韓国などの周辺国が解決していく枠組みを作ることで、アジアのことをアジアに任せるという、多極化の戦略をこっそり推進するためではないか」と考えてきた。(関連記事)

 アジアにはすでに、中国・ロシア・中央アジアで構成する西方の「上海協力機構」と、東南アジア・日中韓で構成する南方の「東アジアサミット(ASEAN+3)」という、アメリカが加盟していない2つの地域安保体制ができている。

 これに北東アジアの日中韓朝露で構成する6カ国協議(マイナスアメリカ)が東方の地域安保体制として加われば、アジアの集団安保体制が完成する。アメリカはすでに、上海協力機構とASEAN+3を容認している。

 アメリカが世界を多極化する戦略を持っていると考えるなら、北が核実験しても核保有していないことにして6カ国協議の再開を推進するアメリカのやり方は、おかしなものではない。(多極化については「欧米中心の世界は終わる?」を参照)


▼アメリカに外される日本

 北朝鮮を核保有国として認めないアメリカの決定は、韓国側との話し合いの結果として出されている。北朝鮮に対する攻撃的な態度をアメリカにとってほしくない韓国は、アメリカから「北朝鮮を核保有国として認めないことにしたいのだが」と持ち掛けられ、当然のごとく賛成した。(関連記事)

 アメリカのライス国務長官は、韓国とこの話をまとめた後、日本の麻生外相に電話し「北朝鮮を核保有国として認めないことにしようと米韓で決めたんだけど、貴国はどうしますか」と持ち掛けた。

 日本は、アメリカが北の状態を「核武装一歩手前」とみなし、北に厳しい制裁や先制攻撃の脅しをより強くかけ、日本がその強硬姿勢の一端を担うことで日米同盟の堅持を目指そうとしていた。アメリカが韓国と謀り、北の核武装をなかったことにして黙認してしまうというのは、日本にとっては大きな目算外だった。(関連記事)

 しかし、米韓でそのように決めてしまったのなら、対米従属の日本としては、従うしかなかった。アメリカ側は、先に韓国に持ち掛けて米韓で話を決めてしまうことで、日本を断れない状況に追い込んだ。

 北の核実験以来、日本政府は、誤算や、アメリカから静かに外されることを繰り返している。北の核実験後、日本は、アメリカが北を許さず、強硬姿勢を強めると考え、安倍首相は「北朝鮮が核保有国として6カ国協議に戻ってくることは容認できない」という主旨の発言をした。(関連記事)

 ところがその後、アメリカ側は10月31日に、中国の仲介で北朝鮮側と北京で会い、北朝鮮は6カ国協議に戻ってくることになった。

 日本政府は、この会合の結果について米政府から連絡を受けていなかったらしく、米マスコミの速報を受けた首相官邸や外務省の担当記者が外務大臣らにこの件を尋ねたところ、最初はしどろもどろの返事しかできず、その後あわてて米政府に事実確認をして、ようやく記者の質問にまともに答えられるようになった。

 核実験したのにアメリカに黙認されることになった北朝鮮側は、気が大きくなり、安倍首相の厳しい発言を揶揄するように「日本こそ6カ国協議に出てこない方が良い。日本はアメリカの家来でしかなく、外交能力も低いので、会議に出てくる意味がない」という声明を発表したりした。(関連記事)

 アメリカは、北朝鮮や中国に対してだけでなく、イランやロシア、イラクの過激派など、世界中の多くの敵対勢力に対し、譲歩する傾向を強めている。アメリカの覇権は、世界的に崩壊の度合いを強めている。

 この状況は、対米従属こそが最重要の国是である日本にとって、重大な危機である。

 本当は「日本はどうしたらいいのか」「アメリカの覇権が衰退した後の日本のあり方を急いで考えねば」といった大騒ぎが、政界やマスコミなどで起きるべき状況なのだが、実際には議論は全く起きていない。

 9条を中心とする憲法の改定や、最近政界で出てきた「核武装論議」などは、アメリカの覇権衰退後を見据えた日本の国体の変更を模索する動きなのだが、そのように銘打って行われておらず、話がすりかえられている。(関連記事その1、その2)


▼アメリカ以後に備え出す韓国

 北朝鮮の問題解決の主導役が、アメリカから中国や韓国に委譲されていくと、次に起こりそうなのは在韓米軍の撤退である。韓国の盧武鉉大統領は最近、外務大臣、国防大臣、統一大臣、諜報機関の長官といった、外交と安全保障の担当閣僚をすべて入れ替えた。

 この人事は、韓国のマスコミでは「北の核実験を機に、北に甘い政策を批判されている盧武鉉は、批判をそらすためのうわべのイメージ作戦として、閣僚を交代させた」としか見られない傾向がある。だが私は、この人事は今後、米軍が韓国から去ることを前提に、自律的な外交・防衛体制を築くための準備の一環として行われたのではないかと推察している。

 韓国の新閣僚は、外務大臣には、北朝鮮に対する宥和策の推進者であり、アメリカを「好戦的な国」と批判した宋旻淳が就任し、国防大臣には、北朝鮮を韓国の主要な敵と考える金章洙が就任した。(関連記事)

 統一大臣には、前任者よりもさらに北に対して宥和的な李在禎が選ばれた。外交面は宥和策、軍事面は強硬策の人物が選ばれている。(関連記事)

 これらの人事は、北に対する宥和派とタカ派の両方を就任させてバランスをとったという単純な話ではない。

 今後、2009年ごろには有事指揮権が在韓米軍から韓国軍に委譲されるなど、米軍が韓国から撤収する度合いを強めるため、韓国は米軍に頼らずに、軍事冒険主義をやる北朝鮮に対峙しなければならなくなる。

 韓国は、軍事的には、今までより北に対して厳しい態度をとらないと、北になめられてしまうので、国防大臣はタカ派の就任が必要だった。(関連記事)

 韓国軍は、北が南に向けて核ミサイルを発射しそうになったら、北のミサイル基地を先制攻撃する計画を発表した。

 北への宥和姿勢を強める韓国にしては、意外に過激な計画発表であるが、これも、在韓米軍がいなくなった後、韓国軍が自力で北の軍事冒険主義との対峙を迫られることを前提に考えれば納得がいく。(関連記事)

 半面、外交面では韓国は、北が経済を市場化するのを支援し、経済的な崩壊を防ぎつつ、外の世界と同様の市場経済体制へと軟着陸することを手伝う必要があり、外務大臣には宥和派の就任が望ましかった。韓国の中枢は、日本と異なり、今後予測されるアメリカの覇権減退を感知し、それに対する準備を始めているように見える。


▼日米同盟はすでに空文

「在韓米軍は撤収しても、在日米軍は撤収しないので、韓国と日本は違う」と思う人がいるかもしれないが、その見方は楽観的すぎる。

 アメリカは、世界的な軍事負担の軽減として米軍再編を行い、その一環として、韓国やドイツ、サウジアラビアなど、世界中の同盟国から軍を撤収している。

 私は10年ほど前から毎日アメリカの報道やシンクタンクの論文を大量に読み続けているが、日本だけは米軍再編の例外だという論調は、一度も見たことがない。例外でない以上、米軍は沖縄を含む日本からも撤退する(している)。

 米軍再編とは、海兵隊などの駐留軍を世界から撤退する一方で、有事の際に米軍がすぐ使える港や滑走路を世界中に契約しておく計画であり、沖縄や横須賀などの米軍施設は、日米軍が共用する施設などとして今後も残る。

 だが、有事の際に米軍が来てくれるかどうかは、米側の意志しだいである。すでに日米同盟は空文化している。

 単独覇権主義の今のアメリカは、どこの国とも同盟関係を維持するつもりはない。最も親密だったはずのイギリスさえ、切られている。日本だけが特別に扱われるとは考えられない。

 08年の大統領選挙でアメリカが民主党政権になっても、大した変更があるとは思えない。対米従属が最善と考える日本政府は、日米同盟の終わりを認めたくないし、国民に知らせたくもないので、日米同盟が強化されているようなイメージばかりが報じられているが、実際は逆である。

 この件について私は「アメリカが悪い」とは思っていない。アメリカは、世界中のことに責任を持つ義務はない。世界の人々は従来、アメリカは嫌いだといって怒るくせに、アメリカに頼っていた。

 そんな時代はもう終わる。私は「日本政府が悪い」とも思っていない。戦後の日本にとって、対米従属は最良の選択だったからだ。しかし、それも過去の話になりつつある。

 重要なのは、911後のアメリカが故意の失策を繰り返し、何も変わっていないかのように見せながら隠然と世界から手を引き始めている今の新状況に、日本が早く気づき、次の国是を考え、対策を打った方が良いということである。

 韓国や中国、ロシアは、すでに新状況に気づいている。北朝鮮の金正日も、もう気づいたかもしれない。このままでは、日本だけが出遅れて「一人負け」することになる。


▼北朝鮮は経済崩壊しない

「米軍がアジアから撤退する前に、北朝鮮が崩壊するのではないか」と言う人もいるだろう。日本の週刊誌などを読むと、北朝鮮は明日にも崩壊しそうな感じだ。

 私も最近、中国から北朝鮮への投資が減っており、北朝鮮の経済市場化は失敗しているのではないかと推測する記事「中国が北朝鮮を政権転覆する?」を書いた。

 しかし、この記事を書いた後、私は逆に、どうやら北朝鮮経済は悪化しておらず、むしろ市場経済体制が定着しつつあるのではないかと考えるようになった。

 平壌には、川の中州の孤立性を利用して、中国からのビジネスマンたちが泊まったり、賭博や売春をする中国人専用のホテル街が、かつての長崎の「出島」のような狭い別世界として作られているが、今夏に平壌を訪問した日本人によると、この出島はますます繁盛している。つまり中国から北朝鮮への投資は減っている感じがない。

 私は、昨年は、北朝鮮の国有企業に対する中国からの投資が増えているという記事を良く見たが、今年に入って見なくなったので、中国からの投資が減ったのではないかと考えた。

 しかし、中国からの投資は、国有企業に入らなくなっただけで、北朝鮮の民間部門には流入している可能性がある。

 北朝鮮には、名目上は民間部門は存在しない。だが、1980年代の中国と同様、操業を停止した国有工場が、遊休の人材や施設を使って、国内の自由市場向けに日用品や加工食品などの商品を作ることは容認されている。

 北朝鮮では1990年代から自由市場が全国的に作られ、けっこう繁盛し、人々は月給から考えると非常に高価な日用品や食品を買っている。

 これらの現象から推測できることは、北朝鮮では、国有企業の遊休の人材や施設を使って製品を作り、自由市場で売り、その利益を国有企業の従業員は給料外の収入として得ているということだ。

 世界的に報じられている北朝鮮経済は、国有企業の公式部門だけのものである。それとは別に、遊休の人材と施設を使った、統計に出てこない民間部門(地下経済)が存在し、公式部門は縮小する一方で民間部門が大きくなり、中国からの資本はそちらに流入している可能性がある。


▼すでに北朝鮮は中国経済の一部?

 北朝鮮も中国も、建前は社会主義だから、公式部門を廃止せずに建前として残しておき、その一方で、人々が勝手に民間部門で商売することを黙認している。

 中国の場合、すでに民間部門が十分に育ち、公式部門が自然に縮小していく後期の段階にあるが、北朝鮮は、まだこのプロセスの前期にあると考えられる。

 中国では、このプロセスに対し、政府は民間の経済行為を「黙認」しているだけで、実態を細かく把握してこなかった。最近、汚職や環境破壊が問題になったので、ようやく実態把握と管理に努めるようになった。

 北朝鮮の中枢には、頑固に社会主義を信奉し、市場経済化を嫌う古参幹部が多いので、おそらく中国側は金正日に、中国と同じ「黙認式」を勧めている。

 北朝鮮当局が民間の経済行為を黙認し、中国の投資家が儲け目当てで設備投資などのための資金を流入させる経緯を経て、北朝鮮はすでに、小規模ではあるものの、把握困難で野放図な中国の「社会主義市場経済」の一部として機能し始めている可能性がある。

(欧米マスコミでは、北朝鮮の飢餓がひどくなっているという報道が毎年のように流される。

 飢餓は1990年代にはあったようだが、実際に北朝鮮の地方都市もよく訪れている研究者の話を私が聞いた感じでは、今は飢餓が起きているとは考えにくい。

 マスコミの飢餓報道は、アメリカなどの政治的意図に基づいた歪曲の疑いがある)

 最近では、ヨーロッパの企業も、北朝鮮への投資を始めようとしている。これは、おそらく中国の代理店を経由しており、名目上は中国への投資として処理されている。日本が北朝鮮との経済関係を絶っている時に、中国や韓国やその他の世界のビジネスマンたちは、北朝鮮への投資を増やしている。(関連記事)
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by sakura4987 | 2006-11-19 11:37

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