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◆妊産婦の高度救急医療 医師の産科離れで整備に支障 (産経 06/11/20)


 奈良県大淀町立大淀病院で今年8月、出産の際に意識不明となった妊婦(当時32)が19病院から転院を断られ、死亡した問題をきっかけに、妊婦の安全を守る救急医療体制の整備や地域間格差の是正が緊急の課題として浮かび上がってきた。

 周産期医療をめぐっては病床数不足や医師不足も深刻だ。地域の実情に見合った医療機関の機能の見直しが求められる。

 妊婦は8月7日、大淀病院に入院し、翌日午前0時過ぎ、頭痛を訴えて意識を失った。同病院は午前1時50分ごろ、拠点病院である奈良県立医大付属病院に受け入れを要請したが満床だった。

 同病院は県内外の転送先を探したが次々に断られ、約60キロ離れた大阪府吹田市の国立循環器病センターに搬送されることが決まったのは午前4時半ごろだった。

 妊婦は午前6時すぎに転送後、脳内出血と診断された。帝王切開手術を受け男児を出産したが、意識不明のまま同月16日に死亡した。

 厚生労働省は、緊急かつ高度な産科救急と母体搬送に対応するため、平成16年の「子ども・子育て応援プラン」で、総合周産期母子医療センターを中心としたネットワークの整備を、平成19年度中に完了するよう全都道府県に求めている。

 ただ、奈良県のほか、秋田、山形、岐阜、佐賀、長崎、宮崎、鹿児島の8自治体ではまだ、整備されていない。

 昼夜を問わない過酷な勤務や出産のトラブルをめぐる訴訟のリスクなどにより、産科の医師不足は深刻な問題となっている。分娩(ぶんべん)を扱う病院や診療所は全国的に減少傾向にあり、平成5年に4200以上あった分娩施設は昨年、約3000に減った。

 奈良県も同様で、16年は高度治療が必要な妊産婦の37%を大阪府など県外に搬送している。

 こうした現状のなかで、北里大学医学部産婦人科学の海野信也教授は「妊婦検診やリスクの低い出産を担う地域の医療機関と、母体の救命救急や重症児に対応する高度医療機関を分けて考える必要がある」と指摘する。

 だが実際は産科を扱う病院の減少から、多くの妊婦が、本来ならリスクの高い患者を優先して受け入れるべき拠点病院を頼るようになり、その結果、拠点病院では救急患者の受け入れが困難な状態となっている。

 一方で、出産をめぐって刑事責任が問われる事件が相次いだことから、萎縮(いしゅく)した医師が難しい出産を避け、より高度な医療機関に任せる傾向も強まってきている。

 「各地域の周産期医療ネットワークは、産科医と小児科医のボランティアで成り立っている。基幹病院の当直の医師の協力で、他の医療機関の妊婦の搬送先を懸命に探すことでかろうじて救急医療に対応している。いわば周産期医療独自の相互援助体制だが、これも現場の疲弊により限界に達している」

 海野教授は現状をそう説明し、解決策として「第三者が搬送先を探すシステム作りも検討する必要がある」と話している。
by sakura4987 | 2006-11-20 07:14

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