◆ブラジルとベネズエラ 「反米経済連合」を推進 (世界日報 06/11/21)
独自の共通通貨創出も
英エコノミスト誌米国版がこのほど報道したところによると、ブラジルのルラ・ダシルバ大統領は反米路線で知られるベネズエラのウゴ・チャベス大統領を支援して積極的な反米経済連合の確立に乗り出しているという。
ルラ大統領は労働党から立候補して先の十月に行われた大統領選で圧勝。
十二月三日に行われるベネズエラ大統領選に出馬するチャベス大統領を支援することを公言し、十一月十三日に行われた両国間を結ぶ全長四㌔のオリノキア橋開通式典に参加するなど全面的にチャベス支援キャンペーンを展開している。
ブラジルとベネズエラを機軸としながら、ボリビアのモラレス大統領、ニカラグアのオルテガ大統領など反米左翼政権の指導者との団結を強めている。
この反米政策の核となっているのが、米国主導による米州自由貿易圏構想に反対して設立した南米南部共同市場(メルコスル=ブラジル、アルゼンチン、ベネズエラ、ウルグアイ、パラグアイ五カ国が参加)。
この拡充を図り、米政府や米大企業による南米支配の阻止を確立しようとの狙いだが、ドルによる決済を行わない独自の共通通貨の創出も進められている。
ルラ大統領やチャベス大統領らの基本姿勢は米国による南米の「植民地支配」を打破するというもの。
中南米に左派政権が続々と誕生し、この反米左派連合が経済共同体構想を通じて強化されれば、米国の「裏庭」である中南米への影響力が大きく後退する可能性もあり、今後の台風の目となっている。