◆新潮お抱え看板コラム書く櫻井氏がライバル誌文春の巻頭で支持率急落の安倍首相に苦言
(世界日報 06/12/15)
失策数々あえて指摘
安倍内閣の支持率下落が止まらない。
教育基本法改正、防衛庁の省昇格法案会期内成立など、「美しい日本」づくりは着々と進んでいるように見えるものの、“造反組”の復党問題のドタバタ、道路特定財源の一般財源化をめぐる議論でのつまずきの方が、安倍首相の指導力のなさを強く印象付けている。
安倍内閣発足八十日にして「早くもガタガタ」「来年の参院選を戦えるのか」の声が出始めている。
週刊新潮で連載コラム「日本ルネッサンス」を書いている櫻井よしこ氏が週刊文春(12月21日号)の巻頭を飾った。「安倍総理しっかりなさいませ!」がそれである。
“ライバル誌”の名コラムニストを持ってきてしまうのだから、週刊誌業界も“仁義なき戦い”が展開しているようだが、櫻井氏の方は“憂国の情”を発信できるのなら、場はどこであろうと構わないのだろう。
ここで櫻井氏は「総理就任前、安倍氏を包んでいた『煌めき』が今や急速に失われつつあると感じています」と述べる。
「きらめくチャンスを失った」失策として、
△復党問題では中川幹事長に丸投げして、「誓約書」を提出させようとし「印象を非常に暗くした」。
△国民の心に届く「言葉」がない。
△道路特定財源問題では道路族に丸め込まれ、
△人事では久間防衛庁長官の「旧態依然」とした安保感覚を野放しにしている
――などを挙げている。
しかし、櫻井氏がもっとも腹に据えかねたのは歴史認識問題で、祖父の岸信介元首相を批判したことだ。
国会で岸氏の戦争責任を問われて首相は「開戦の結果、アジアの人たちの多くのつめ跡を残した。指導者には祖父を含めて大きな責任があった。(開戦の)判断は間違っていた」と答弁した。
これに対して櫻井氏は「訪中を控えた時期であるとはいえ、媚びた発言でした。開戦は、当時の国際関係のなかで苦しみ抜いて決断したことです。だからこそ、祖父、岸信介氏を擁護してほしかった。これは安倍総理の歴史認識にかかわる問題です」と厳しく問いつめている。