◆米大統領 対印原子力協力を解禁 法案署名 被爆国日本の対応焦点 (西日本 06/12/19)
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/world/20061219/20061219_003.shtml
ブッシュ米大統領は18日、核拡散防止条約(NPT)未加盟国のインドへの原子力協力を可能にする「米インド平和原子力協力法案」に署名する。
国際原子力機関(IAEA)の包括的査察下にないインドに対し、過去30年以上禁じてきた米企業の原子力関連物資などの輸出に道を開く内容。
実際の輸出開始には日本も参加する原子力供給国グループ(NSG)のルール改正が必要で、態度を保留する被爆国日本の対応が注目される。
大国化する中国の動きをにらみ、インドとの「戦略的関係」強化の観点から、ブッシュ政権が推進してきた重要法案の成立。
しかし、NPTの枠外で核開発を続けるインドへの原子力協力をめぐっては「核不拡散の国際ルールを損なう」(米専門家)との批判もあり、弱体化が指摘されるNPT体制の行方にも影響を与えそうだ。
今春以降の議会審議では、NPT体制を重視する一部民主党議員が「核燃料輸出で民生用のインド国内のウランが軍事転用され、インドの核生産能力を増強しかねない」と反対を表明。
しかし、インド系ロビー団体の政界工作や両国関係強化を優先する議会世論の流れを受け、大多数の議員が法案に賛成した。
議会は(1)インドが核実験をした場合の協力停止(2)軍事目的のウラン濃縮や使用済み燃料再処理関連の輸出禁止‐といった制限を設けたが、兵器用核分裂物質の製造中止などインド側が強く反対する規制は設けなかった。
核燃料や原発関連製品の輸出実施に当たっては、NSGの了解に加え、具体的協力内容への議会の同意が条件となる。
▽米インド原子力協力
ブッシュ米大統領は昨年、インドに対する民生用原子力をめぐる技術協力や関連物資提供を禁じてきた政策を転換し、核拡散防止条約(NPT)未加盟国のインドへの核協力を推進することで同国と合意。
今年3月大統領がインドを訪れ、22ある原子炉のうち14を国際原子力機関(IAEA)の包括的保障措置(査察)下に置くことで一致した。ただし兵器級プルトニウムが製造できる高速増殖炉は査察対象外となった。