◆自民党19年運動方針案 新憲法、教育を再生 (産経 06/12/29)
■保守色前面、首相靖国参拝にじます
自民党の平成19年の運動方針案「美しい国づくりに向けて」の全容が28日、明らかになった。重点政策として新憲法制定や外交力の強化、教育再生を掲げるなど安倍晋三首相(党総裁)の「保守再興路線」を強く打ち出した内容。
靖国神社参拝については「参拝を受け継ぎ、国の礎となられた方々に対して謹んで哀悼の誠をささげる」とし、首相の靖国参拝への意欲を強くにじませた。総務会の決定を経て1月17日の党大会で採択される。
運動方針案は前文、党活動、重点政策の3部構成で、約4100字。
前文では、安倍政権のスローガン「美しい国、日本」の目指すべき国家像を「歴史、伝統、文化を大切にしながら、自由な社会を基本とし、規律を知る凛(りん)とした国」と定義。
家族のきずな、伝統・文化、心の豊かさなどを「保守する」とし、保守政党としての自民党を強調している。
重点政策は、「新しい国のかたちづくり」「小さな政府」「安全・安心な社会」「再チャレンジ社会・魅力ある地方」「活力ある社会」「総合的外交力の強化」「防衛体制の整備とテロ対策」「沖縄振興」の8項目。
具体策の筆頭に「憲法改正手続き法案の早期成立と新憲法制定への国民的議論の喚起」、2番目に「公教育の再生」を挙げた。この2つが1月下旬召集の通常国会のメーンテーマとなりそうだ。
外交では、北朝鮮の核・ミサイル、拉致問題を「脅威」と位置づけ、早期解決を掲げた。「北朝鮮」の国名には触れず「対話と圧力により拉致問題の解決に全力を傾注」としただけの18年の運動方針に比べ、格段に踏み込んでいる。
一方、小泉構造改革路線は後退した。前文で「小泉改革を引き継ぎ、加速させる」としたが、「財政再建」や「構造改革」の言葉は消え、代わりに「成長戦略による活力に満ちた経済」「チャンスに満ちた社会」などの経済成長重視の上げ潮路線を打ち出した。
党活動では、来年の統一地方選、参院選を「わが党の信を問う重要な戦い」と位置づけ、民主党を「政権担当能力がないのは明らか」と断じ、対決姿勢を鮮明にした。
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【自民党運動方針案の要旨】
《前文》
小泉改革の「たいまつ」は「成長なくして日本の未来なし」の安倍政権へ引き継がれた。改革を加速し、その炎を燃やし続ける。
「美しい国、日本」の国家像は歴史、伝統、文化を大切にし、自由な社会を基本に規律を知る凛(りん)とした国だ。成長戦略による活力に満ちた経済、再チャレンジ支援によるチャンスに満ちた社会、教育再生による優しさに満ち自律の精神を大事にする社会を目指す。
北朝鮮の核、ミサイル発射、拉致問題など、新たな脅威が生じている。主張する外交への転換、北方領土問題の粘り強い解決、憲法改正手続に関する法案の早期成立を目指す。
靖国神社の参拝を受け継ぎ、国の礎となられた方々に対して謹んで哀悼の誠をささげ、不戦を誓い恒久平和への決意を新たにする。
家族のきずなと家庭を重んじ、文化、伝統を大切にし、心の豊かさ、地域共同体の存立など、守るべきものを保守する。
国民すべてを「勝ち組」にするために全力を傾注する。世界に誇り得る“高い志”と思いやりに満ちた“温かい心”を持って前進する
《第1章 党活動》
「理念なき党利党略」の民主党に政権担当能力はない。統一地方選、参院選で党公認・推薦候補者の全員当選を目指す
【選挙対策】=略
【党改革】首長の多選問題への対応▽公募制度拡大
【組織活動と党勢拡大】民間労組など新たな支援団体の発掘▽官公労問題の追及
《第2章 重点政策》【広報活動】【人材の発掘・育成】=略
【新しい国のかたちづくり-美しい国へ-】新憲法制定へ向けた国民的議論の喚起▽公教育再生と品格ある国家・社会の実現
【小さな政府】公務員制度改革法案の提出と省庁再々編議論▽社会保険庁の解体
【安全・安心な社会の確立】持続可能な社会保障制度の構築▽真に必要な社会資本整備
【再チャレンジ可能な社会と魅力ある地方の実現】=略
【活力ある社会の創造】イノベーション(技術革新)の奨励▽少子化対策推進
【総合的外交力の強化】北朝鮮問題の早期解決▽海洋基本法の早期制定
【防衛体制の整備とテロ対策の強化】日米安保の強化と米軍再編推進▽ミサイル防衛強化
【沖縄振興】=略