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◆【空白の海洋戦略】(上)司令塔不在/手薄な警備/船員は外国人 (産経 07/1/9)


大量破壊兵器の拡散防止構想(PSI)の多国間合同訓練で船舶立ち入り検査を行う海上自衛隊員たち。さまざまな脅威に対する海の守りは重要度を増している=2005年8月15日、シンガポール・チャンギ海軍基地内で(藤本欣也撮影)


 東京・九段坂を登り詰めたあたり、武道館入り口の田安門の前に和洋折衷の灯台が立つ。明治4年建造の「常燈明台」で、頂上の金色の風見が初日に照り映えていた。この界隈(かいわい)は江戸で最も見晴らしがきき、東京湾を出入りする船がこの常夜灯を頼りにし、陸からは海の日の出を見ようと人々が群れをなした。
                   ◆◇◆

 戦前までは陸と海が一体で、陸にいては海の守りを、海では陸の守りを思った。男の子に「将来は何になる?」と問えば、「連合艦隊司令官!」と返ってきた時代が続いたものだ。

 戦後、「民主主義」教育と経済繁栄の中で、九段坂と東京湾が物理的に遮断されたように、陸と海の間で人々の心はとんと交い合わなくなった。

 先ごろ、都内で催されたシンポジウム「海洋国家日本の進路」(太平洋学会主催、産経新聞後援)で、キャスターの桜林美佐さんは「九段坂の灯台」の話を引きつつ、「最近の日本人は日本という船に乗っていることを忘れがちで、海に思いを致すこともなくなってしまった。それは国を意識することがなくなったのと同じだ」と嘆いた。

 ここ数年、日本を取り巻く海の事件は引きも切らない。そもそも北朝鮮の拉致犯人たちは日本海を拉致回廊にして横田めぐみさんらを連れ去り、その後も麻薬や武器などの密輸に暗躍する工作船を跋扈(ばっこ)させている。中国は東シナ海などにエネルギーあさりの海洋調査船や潜水艦を放ち、日本の海の動脈たるシーレーン、マラッカ海峡では海賊事件が頻発し、昨夏は北方領土海域でロシア国境警備艇が日本漁船を銃撃して死者を出した。

 「それなのに…」と、元自衛官で日本政策研究センター研究員の濱口和久氏は同じシンポジウムで、海の守りのお寒い事情を数字で示してみせた。

 日本の国土は約38万平方キロメートルで世界59番目だが、国連海洋法条約で200カイリが自国領・排他的経済水域となったことで日本の海の面積は約447万平方キロメートルと世界6位(国土の11倍)の広さになった。ところが、この広大な海を守る海上保安庁の定員は陸上勤務を含めて約1万2000人、海上自衛隊は4万5000人。つまり、東京を守る警視庁の警察官4万人強にほぼ匹敵する人員しかいない。

 「しかも、日本は北方領土、竹島、尖閣諸島を抱えているのに、領土問題の司令塔がない。(外務省などの対応も弱腰で)本来行使すべき主権まで放棄している国家だ」と憤った。

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 船員、つまり船乗りは今、天然記念物トキと同じ「絶滅危惧(きぐ)種」といわれている。特に外航(外国航路)海運は現在、業界が活況を呈しているのに、船員は文字通り「絶滅」に瀕(ひん)しているという矛盾を抱えている。

 海洋政策研究財団によると、日本の商船隊は現在約2000隻だが、日本籍船舶はわずか95隻で日本人船員も2600人しかいない。30年ほど前には日本籍船舶は1600隻、日本人船員は5万7000人だったから、いずれも約5%にまで激減してしまった計算になる。

 世界の海を行く日本向け重要戦略物資を積んだ船舶の約95%までが「日の丸」を掲げていないのだ。こんな状態で、例えば中東から日本への石油を積んだタンカーがシーレーン上で海賊やテロリストに襲撃されたらどうなるか。海上自衛隊の防衛対象は「日の丸」を掲げた日本籍船舶だけなので、現場に急行しても犯人側と交戦はおろか乗組員を救出できないといった理不尽極まる事態が起き得る。

 日本人船員の激減は、1985年のプラザ合意による大幅な円高が日本人船員のコスト競争力を喪失させ、「安くて使い勝手の良い外国人船員が国際市場から自由に調達できる」(井出本榮・全日本海員組合長)時代になったことによる。

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 笹川陽平・日本財団会長は「海洋に接する国々は、海底資源開発や漁業など、海洋に関連する諸権利を明確に主張するようになった」と指摘。友田好文・太平洋学会副会長も「レーニンの『帝国主義論』に『なぜ国家は領土を拡大しようとするのか』とあるが、同様に今は、海を世界が分割する時代に入ってしまった」と警鐘を鳴らす。

 ところが、日本には海洋問題を総合的に管轄する政府機関も海洋担当大臣もいない。国会でようやく「海洋基本法」策定への動きが出始めたが、現状は「ないない尽くし」なのだ。ちなみに、中国はすでに「海洋使用管理法」を制定し、韓国も海洋水産省を創設している。

 大山高明・日本海事新聞社長は覚醒(かくせい)の檄(げき)を飛ばしている。

 「日本よ、針路を海にとれ」(斎藤勉)
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by sakura4987 | 2007-01-10 13:16

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