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◆人口減社会の実像(前編)



50年後に日本の人口は9000万人に、そして減少は止まらない

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20070110/116646/

 厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は2006年12月、「将来推計人口」を公表した。それによると、現在約1億2800万人ある日本の人口は、50年後の2055年には3割減って9000万人を切る。

 100年後の2105年には最良のケースで約6300万人まで、最悪のケースでは約3400万人まで激減するという参考推計値も示した。推計作業の責任者である人口動向研究部長の金子隆一氏に、その数字が意味するところを聞いた。


NBO 今回の推計はかなり厳しい内容になっています。その結果については盛んに報じられていますが、実際に推計を担当された方の実感を伺いたい。

金子 推計が描く社会というのは大変厳しいものであることを、各報道は正しくとらえていると思います。ただ、まずは将来推計というものはどういう性質のものなのか、一番根本のところからお話をさせてください。

 将来推計というのは、未来がどうなるのかということを見通した予測です。予測にはいろいろなやり方がありますが、将来推計人口は個人的な意見や見方によるのではなく、できる限り中立的、客観的、科学的な方法で行うことを基本方針としています。取りも直さず実績データに基づき、学会などで認められた推計モデルや理論を用いています。

 ただし、それで見事に将来が言い当てられればこんなにいいことはないのですが、残念ながら今の人間が持っている技術、特に社会科学の分野においては、将来を計量的に正確に言い当てる方法論は持ち合わせていないのです。

NBO 「必ずこうなる」というようなものではないわけですね。

金子 はい、極力科学的にやるしかないということです。少し専門的になりますが、予測には「無条件予測」と「条件予測」という2種類があります。

 無条件予測というのは、社会の諸条件を含めて予測して人口についてはこうなりますというものです。それに対して、例えば出生率はこのような推移をして、寿命はこのぐらい延びて、国際人口移動はこのぐらいになったら、人口はこういう姿になりますというのが条件予測です。

 条件そのものの推移を正確に予測することはできませんが、実績値から想定の幅というものを科学的に絞り込むことはできるわけです。出生率や死亡率などについてはかなり正確に見通すことができます。

 そういった、想定の幅を科学的に絞り込んでいけば、結果として人口の推移というものの幅が見えてきます。それが分かるということは、何も分からないよりも、私たちの将来について考える材料になる。人口推計は、そういった考え方で出しています。


■推計データが映し出す過酷な未来

NBO 新聞の社説の中には、「現実に近い厳しめの数字を出してきたことは評価できる」というような書き方もありましたが、“甘め”とか“辛め”というようなさじ加減はしていないということですね。

金子 回を追うごとに厳しい内容になっていますから、「今回はいよいよ本格的に厳しいぞ」という印象を一般の方は持たれていると思います。ただ、細かい推計技術は別にして、科学的、中立的という基本スタンスは全く変わっていません。

 今回、皆さんが「厳しい」という印象を持たれるのは、実績データがいよいよのっぴきならないところまで来ているからだと思います。しかし、今回の推計データはもっと厳しい将来像を映し出しているのです。

NBO どういうことですか?

金子 出生率の低下です。専門的には「合計特殊出生率」と呼ばれるもので、平たく言えば、1人の女性が平均して産む生涯の子供の数です。人口を推計する上で、出生率は非常に大きな位置を占めます。

 我々の推計では、女性の一生を結婚、出産という切り口から形作ります。これも専門的になりますが、「コーホート出生率法」という手法を取ります。

 コーホートというのは同じ年に生まれた同じ世代という意味ですが、世代ごとに生き方や一生の過ごし方が変化してきていますから、まずそれを描き出していって人口に“翻訳”するという作業になります。

 2005年の合計特殊出生率の実績値は「1.26」でした。今回の推計では2055年の合計特殊出生率が「1.26」になるという結果が出ました。

 一見、「ああ、50年経っても出生率は変わらないんだ」と思われるかもしれませんが、これら2つの数字の意味は全く違います。同じになったのは、ただの偶然です。

 実績値の1.26は、2005年という1年間だけを観察したものです。15歳以上50歳未満を統計的に「再生産年齢」と言いますが、1人の女性が一生で何人の子供を産むかというのは本当はこの35年間を見なければいけません。たった1年で35年分を見通せるわけがないのです。

 では、どうしているかと言うと、2005年の時点で生存している15歳から49歳までの女性を統計的に1人の人生と見なすのです。15歳がこれだけ産んでいる、25歳がこれだけ産んだ、38歳はこれだけというデータを基に統計的な計算を施して「1人の女性が産む子供は1.26人」と言っているのです。

NBO 素人には難しくてよく分かりませんが、“縦”を“横”に置き換えて見るようなものなんでしょうか?

金子 まあ、そんなところです(笑)。ただ、このやり方には大きな問題があります。ものすごく変動しやすい数字なのです。

 例えば、大変な不況がやってきた、社会不安が起きたとします。そうすると、「今年はちょっと危なそうだから、子供をつくるのを来年に延ばそう」と考える人が増えますよね。

 理論的には、15歳も、25歳も、38歳も誰も子供を産まなかったので出生率が「ゼロ」になったということもあり得るのです。実際、丙午の年に出産を控えるというような現象があります。

 ところが、その次の年に景気が良くなり、社会が安定したということで、予定通りに子供を産んだとします。年次の出生率は跳ね上がります。けれども、1人の女性を見た時、その女性が「2人は子供を産みたい」と思っていたとして結局予定通り産めば、その女性にとっての出生率は「2」で変わらないことになるのです。


■出生率が決定的な低水準に収束

NBO つまり、1年ごとに観察される出生率というのは、景気や社会情勢やブームみたいなものに影響されて大きく変動しやすい、“ふわふわ”とした指数だというイメージですか?

金子 そうなんです。タイミング効果と呼ばれる要素が入ってきます。日本の場合は、一直線に下がってきていますが、外国ではもっと激しく変動しています。

 一時的にものすごく低くなる可能性もあるし、逆に、戻ってくる可能性もあるのです。晩産化や晩婚化が進行している時には年次の出生率がじりじり下がります。

 でも、その傾向が行き着くところまで行けば、次第に本来の数字へと自動的に戻ってくるものなのです。

 それに対して今回の人口推計の1.26という数字は、そういう変動のない、1人の女性が一生涯に産む子供の本当の数が平均的にそうなるという意味なんです。

 出生率の要素についてはこれまでよりも詳しい分析を加えました。

 具体的には、平均初婚年齢、生涯未婚率、夫婦完結出生児数、それからちょっと言葉がなじまないかもしれませんが離死別・再婚の効果の4つです。晩婚化や離婚の増加が出生率にどのような影響を与えるのかということを変動的に加味しました。

NBO やはり大変な数字が出てきてしまったということですか?

金子 大変なことですよ。生涯に本当に1.26人しか産まないということであって、1.5とか、1.8とかに戻るメカニズムが働く余地は一切含まれていません。そこに落ち着いてしまうということです。

NBO つまり、人口減少が止まらなくなってしまうのですか?

金子 そう言ってもいいと思います。


■人類が受け入れざるを得ない一本道

NBO 今回の中位推計では、2055年には現在2割程度の老年(65歳以上)人口が4割を超えるという結果になっていますね。65歳以上の人口が4割を超えるというのは大変なことだと思うのですが、やはり出生率の低下が一番重要な要因なのですか?

金子 年次の出生率は変動幅が大きいのですが、現時点でかなり低いレベルに達しているのでこれが半分になるというような変化は恐らく起きてこないでしょう。むしろ、寿命の延びが無視できないファクターになってきます。

 一般的には出生率が低いためにお年寄りの割合が増えていくと考えられているのですが、寿命の延びが高齢化率を引き上げている要素もかなり大きいのです。長寿化というのは喜ばしいことなのですが、統計的に見ると少しぐらい出生率が上がってもそれを打ち消して高齢化率をどんどん上げていく要因になります。

NBO 今回の結果をご自身ではどうとらえていますか?

金子 このぐらいの出生率だったらこのぐらいになるだろうという感覚はありますが、結果を見て、「ここまで厳しくなるのか!」という感想は確かに持ちました。

 少なくとも今世紀末までにかなりの人口が減少することは避けられないでしょう。高齢化も著しく進みます。これは日本に限った話ではなくて、人類が受け入れざるを得ない一本道ですね。

NBO そこまで厳しい認識ですか。

金子 ええ。「人口転換」という言葉をご存じですか。第1の転換は「多産多死」から「少産少死」です。その間にいろいろあるのですが、簡単に言えば、たくさん産まれてたくさん死んでいくという状態から、少なく産まれてみんなが育つという社会になった。近代社会の1つの勝利です。

 その先に第2の人口転換があるわけです。1980年代ぐらいまでは、出生率と死亡率が均衡するところで落ち着いて人口の増加も一定化する、あるいは安定するのではないかという見方が主流でした。

 ところが、実は60年代後半から70年代半ばぐらいには、少子化というような基本的システムの変化が確実に起きていました。

 人の生き方が大きく変わったのです。

NBO どのぐらいの時間レンジになるのか分かりませんが、この先に定常状態というのはあるのでしょうか。低い水準で安定するのか、どこかで反転して戻ってくるのか、それともどん底まで落ちていくのか…。

金子 1つのキーワードは「人口置き換え水準」です。これは出生率に関する用語で、ある水準の出生率がないと人口は世代を置き換えられませんよという水準なんですね。日本の場合、今の置き換え水準というのは、女性1人に対して2.07人です。


■均衡点の見えぬ縮小を覚悟せよ

NBO 出生率が2.07あれば、人口は一定を保てるということですか。

金子 長期的に見ればそうなるだろうということです。今回の推計の出生率1.26は2.07の約60%です。これが何を意味するかというと、その状態が続けば、1世代ごと、おおむね30年ごとに人口が0.6掛けで減っていくということです。30年で人口は60%、60年で36%になります。

NBO 90年で22%、120年で13%…。つまり、2055年に日本の人口が9000万人になるというのは単なる通過点であって、その後も人口減少が止まらないということですね。

金子 あくまで理論的に言えば、人口置き換え水準だけの出生率がない限り、人口は均衡点を見つけられないままどこまでも縮小を続けます。



金子 隆一(かねこ・りゅういち)氏

国立社会保障・人口問題研究所 人口動向研究部長

東京生まれ。東京大学理学部(生物学科自然人類学課程)卒業後、東京大学理学系大学院修士課程、ペンシルバニア大学大学院博士課程を修了。1982年、国立社会保障・人口問題研究所入所。専門は人口統計学。共著に『少子化の人口学』(原書房)がある。
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by sakura4987 | 2007-01-16 08:18

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