◆【主張】情報機能強化 不備を正して国益を守れ (産経 07/3/4)
日本独自の情報能力をどう構築するか。その方向性を示したのが、政府の情報機能強化検討会議(議長・塩崎恭久官房長官)がまとめた中間報告である。
具体的な内容は、首相官邸の情報収集力や分析力をアップするための組織強化策であり、情報を保全する新たな法整備の検討-などだ。
縦割りの克服などの問題はあるが、官邸が司令塔としての機能を十分果たすために必要な方策である。
日本の安全に直結する北朝鮮の核や国際テロリストをめぐる情報は、「不足」していると中間報告も認めている。自前で国益に資する情報収集・分析体制の構築は喫緊の課題であり、日本の総力を挙げねばなるまい。
日本の情報組織は内閣情報調査室、警察庁、公安調査庁、外務省、防衛省などにまたがっている。官邸で各組織が定期的に会うのは内閣情報会議(官房長官主宰、次官級)と合同情報会議(官房副長官主宰、局長級)だ。
だが、現状はいずれも懸案事項の報告に終始しているとされる。各組織は情報を抱え込み、首相や官房長官に直接報告する。これでは組織が相互補完して最高意思決定機関の官邸を支える仕組みにはならない。
中間報告は政府全体が情報を適切に共有するため、(1)各組織は内調に連絡担当官を派遣・常駐させる(2)新設される内閣情報分析官が情報の信頼度を判断した「評価書」を作成する-などとしている。ただ、各組織から直接報告するルートも残すとしており、縦割りの弊害が出ない運用をすべきだ。
一方、情報の抱え込みは情報漏洩(ろうえい)の懸念ともからむ。日本の機密保全の不十分さには、同盟国から不信の目が向けられている。国家公務員法などの守秘義務規定の懲役刑は1年以下だ。情報漏洩への罰則強化に向けた法整備検討を盛り込んだのは当然だ。
同時に国家の重要な防衛、外交機密を外国のスパイから守り、スパイや協力者を処罰する「国家機密法」制定も議論を尽くさなくてはなるまい。
最終報告は半年以内にまとまるという。対外情報機関の設置は今回、「検討」となっているが、対外情報庁の設置まで踏み込んでいいのではないか。日本が過酷な国際環境で生き抜くための知恵と工夫が求められている。

