◆【主張】技術流出 企業の感度が鈍くないか (産経 07/6/3)
企業の技術流出が深刻だ。政府の「ものづくり白書」最新版は、技術流出防止が日本の製造業の国際競争力維持・強化にとって重要課題であると訴えている。
白書は、経済産業省が昨年12月にまとめた製造業に対する調査結果を紹介している。それによると、「技術流出があった」とした企業は35・8%に達した。流出先と考えられるのはトップが中国63・5%、次いで韓国だ。
外国企業による合併・買収で重要技術が流出するとの危機感は強い。三角合併解禁のさい、外資規制を求める声が経済界で高まった。
安全保障の観点から、外資が投資する場合に法律で事前届け出が義務付けられる業種、技術が拡大されることにもなっている。
留意すべきは、合併・買収などによる流出より、元社員や外国人社員による技術持ち出しが多いことだ。
企業機密漏洩(ろうえい)では不正競争防止法の罰則が強化され、最高刑は懲役10年と米国並みになった。
政府内には、機密情報を第三者に示したことが確認されなくても、入手しただけで処罰できるよう同法を再改正する動きもある。
法律面の整備もさることながら、企業の情報保持に対する意識を向上させることも重要だ。
機密情報は通常の情報と区別され、アクセス制限や厳格な手続きが求められるべきだ。にもかかわらず、両者の区別があいまいな例が多い。
先の調査では、社員に秘密保持契約を課している企業は7割を超えるが、「保持すべき秘密」を特定しているのは約4割である。これでは実効性が問われる。
企業の感度の鈍さは、後を絶たぬ軍事転用可能な技術・製品の中国、北朝鮮への不正輸出にあらわれている。
今春、自動車部品大手デンソーの中国人技術者が、機密情報を含む大量の製品データを持ち出したとして横領容疑で逮捕された。
中国への技術流出は確認できず、起訴は見送られたが、同社のデータ管理の甘さは責められよう。日本企業の技術者が週末、中国や韓国に出かけてアルバイトしているうちに技術が流出したケースも多い。
まずもって、企業や従業員自らが、技術流出防止への感度を上げることである。それなくしては、せっかくの法整備も生かされまい。

