◆反フェミニズム通信 平成19年6月27日発行 第137号
膨らみ続ける介護保険費用
「介護保険導入で医療費削減」のウソ
折口会長のジェット機に化けた介護費
「女たちがタダ働きを強いられてきた仕事を外注化することに成功した」とフェミニストたちは介護保険の導入に狂気した。介護保険の導入はフェミニズムの歴史における画期的勝利と位置づけてられゐる。
介護保険制度とフェミニズムの関係が理解できない人は、自分の住む自治体の予算をのぞいてみるといい。多くの自治体には「男女共同参画事業予算」といふ項目がある。その「男女共同参画事業予算」の中に「介護保険関連経費」が計上されてゐるのを発見するはずである。
政府レベルの予算も同じ。内閣府男女共同参画局が発表してゐる悪名高き「男女共同参画推進関係予算」には、「高齢者が安心して暮らせる介護体制の構築」といふ項目があり、2兆円強の予算が計上されてゐる。「男女共同参画推進関係予算」は約10兆円だから、介護事業は実にその5分の1を占めてしまふ。
介護関係の政府予算が2兆円といつても、これを我が国の介護費用の総額と勘違ひしてはいけない。2兆円は介護給付に要する費用のうち、国が負担するは費用にすぎない。
介護費用は自己負担分が1割。残りを公費と保険料で2分の1づつ負担し、公費の負担は国2、都道府県1、市町村1、の割合だ。これらを含めた介護費用の総額は7兆1千億円となる。
介護保険の総費用は介護保険制度がスタートした平成12年度は3兆6千億円だつたが、その後、次のやうに増加の一途をたどつてゐる。
平成12年度 3兆6千億円
平成13年度 4兆6千億円
平成14年度 5兆2千億円
平成15年度 5兆7千億円
平成16年度 6兆3千億円
平成17年度 6兆8千億円
平成18年度 7兆1千億円
スタート時の3兆6千億円が5年で2倍になり、あと5年で10兆円と突破すると見込まれてゐる。
介護保険を導入した理由のひとつに、国民医療費の削減といふことが言はれた。では介護保険制度の導入で国民医療費はどのやうに変化したか。
平成12年度 30兆1千億円
平成13年度 30兆4千億円
平成14年度 30兆2千億円
平成15年度 30兆8千億円
平成16年度 31兆4千億円
平成17年度 32兆4千億円
減るどころではない。国民医療費は介護保険導入後の5年間で2兆3千億円も増えてゐるではないか。
70歳以上の老人医療費を見てみよう。
平成12年度 11兆2千億円
平成13年度 11兆7千億円
平成14年度 11兆7千億円
平成15年度 12兆3千億円
平成16年度 12兆8千億円
平成17年度 13兆5千億円
驚いたことに、老人医療費も少しも減つてゐない。老人医療費も介護保険導入後の5年間で2兆3千億円も増加してゐる。つまり、国民医療費の増加分はそのまま老人医療費の増加分だといふことになる。
介護保険を導入すれば国民医療費の削減につながるはずだつた。ところが国民医療費は増え続け、一方で10兆円に迫らうかといふ老人介護費が出現してしまつた。
コムスン事件は、介護保険のカラクリを解く材料をふんだんに提供してくれた。介護保険費用は、コムスンを運営する折口雅博・グッドウィル会長の40億円の自家用ジェット機に化けた、と考へるのが一番分かりやすいと思ふ。
介護保険の導入にあたつて厚生省は盛んにPRした、「介護保険を導入すれば、国民は介護サービスを自分で選ぶことができるし、国民医療費の負担も減らすことができるんですよ」と。
なんのことはない、国民は厚生省のウソに乗せられたのである。