◆小泉純一郎の「8・15靖国参拝」の深層 (日経 06/7/19)
http://www.nikkei.co.jp/neteye5/shimizu2/20060714ne97e000_14.html
「年に何回行こうが問題にならない。個人の自由だ」。退陣を目前にする首相・小泉純一郎は終戦記念日の8月15日、靖国神社参拝に踏み切る気配を強めている。
「ぶれない」が身上の宰相。2001年、自民党総裁選で「8・15参拝」を公約して勝利しながら珍しく迷い、13日に前倒しした。その瞬間から迷走は始まった。
政権中枢の人間関係は激しくきしみ、日中関係は冷え切った。5年越しの「8・15参拝」断行となれば、日中関係はもちろん、ポスト小泉にも重大な影響を及ぼすのは間違いない。
■報じられない沖縄県遺族会会長の謝意
沖縄戦終結から61年目の「慰霊の日」となった6月23日。小泉も出席した沖縄県糸満市の平和記念公園で開いた全戦没者追悼式でハプニングが起きた。
「小泉首相が就任以来、靖国参拝で慰霊と尊崇の誠を捧げられていることに遺族は謝意を表します」。
挨拶で靖国参拝を評価したのは県遺族連合会会長・仲宗根義尚だった。
「参拝を続けていただくようお願いします」。
前年の前会長の挨拶にこの下りはなかった。
小泉は一瞬、追悼式出席への御礼かと戸惑った。靖国参拝への謝意と分かると何度もうなずいた。ほとんど報じられない一件だが、小泉の背中を押した。