◆官房長官、撤回要求に応じず/「集団自決」修正 (沖縄タイム07/7/12)
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200707121300_02.html
塩崎恭久官房長官は十一日午後の記者会見で、県議会が高校歴史教科書の沖縄戦記述から「集団自決(強制集団死)」への日本軍関与を削除した教科書検定の撤回を求める意見書を再可決したことについて、要求に応じる考えはないことを示した。
政府の姿勢に県内関係者は「誠意が感じられない」「これで引き下がるわけにはいかない、目標達成まで戦う」と反発している。
塩崎長官は、県議会での異例の再可決について「それなりの重たい意味がある。それはそれで(意見書を)拝見する」と重要性を認めた。
しかし、「日本は国定教科書ではない。検定制度というものの中で今回のようなことがあった」とも述べ、政府として教科用図書検定調査審議会の決定を尊重する考えを強調した。
「集団自決」への日本軍の関与に対する見解を問われると、「歴史的な問題だから政府としてコメントすることではない。ましてや個人的な意見を述べるようなものではない」と言及を避けた。
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≪県内反発 決意新た≫
「検定撤回まで次々手段を考える」「県民の怒りの火に油を注いだ」。
「集団自決(強制集団死)」への軍関与を削除させた文部科学省の教科書検定の撤回を求める意見書を県議会が再可決したその日に、官房長官が「拒否姿勢」を明らかにしたことに、県議や撤回運動を進める関係者から怒りや徹底抗戦の決意の声が次々と上がった。
発言を聞いた県議会の仲里利信議長は「そうですか、と引き下がるわけにはいかない。要請に来ても無駄、ということだろうが、次々に訴えるステップを考えていく。政府と戦う覚悟だ」と断言。
新たな県民大会開催の動きにも触れ「戦争を引き起こすことになる書き換えは、後世のためにも許さない。それが県民の意思だ」と話した。
県議会文教厚生委員会の前島明男委員長も「こんな発言が出ること自体ナンセンスだ。全県民的戦いで、政府の態度は許せないということを突き付けていく。座間味・渡嘉敷で生き証人の話を聞いたことで、ますます許せないと思うようになった」と決意を新たにした。
検定撤回の運動を進めてきた高嶋伸欣琉球大教授は「今回の意見書は政府の誠意のなさを問題にしているのに、文面も見ずにこんな発言をするとは。絵に描いたような無神経さにあきれた」と塩崎発言を酷評。
「沖縄の怒りの火に油を注いだ。さらに議論や反発は大きくなる」と運動の広がりに期待した。