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◆松下幸之助の生き方と経営理念



     /PHP総合研究所第一研究本部長 佐藤悌二郎氏に聞く

 (世界日報 07/8/4)


古き良き伝統精神の復活を


自然の理法に即せば必ず成功/素直な心で衆知集める


宇宙の根源に感謝/大切なのは「公的欲望」



 企業による不祥事が後を絶たない。拝金主義的な風潮とともに、トップに立つ者の資質が厳しく問われている。そんな中、改めて評価されているのが「経営の神様」松下幸之助の生き方と経営理念だ。その神髄や学ぶべきことについて、佐藤悌二郎・PHP総合研究所第一研究本部長に聞いた。



 ――松下幸之助さんは一企業の創業者の枠を超え、大きな足跡を残した。政治や経済、社会で混迷が続く平成の日本にあって、松下さんの遺志はどう受け止められていると思うか。



 亡くなって十八年になるが、相変わらず松下はさまざまな企業の新入社員にとってあこがれの経営者ナンバーワンに挙げられる。また経営者の間でも、その生き方や考え方に学ぼうとしている人は多い。



 「松下幸之助はもう古い」と言われた時期もあったが、今なおその感化力は色あせることがない。もうけさえすればいいという企業の不祥事が相次いで企業倫理が問われる昨今、ますます松下の経営理念は必要とされてきていると思う。時代を超えて変わらない普遍性があるからだ。



 ――PHP総合研究所としては、どう処していこうとしているのか。



 PHPは昭和二十一年十一月、戦後の疲弊し混乱した世相を目の当たりにした松下によって創設された。「人間には本来、繁栄・平和・幸福への道が開かれているはずだ。その道を、衆知を集めて追求していきたい」という強い願いに基づいていた。



 以後、六十年が経過したが、今の日本はすべてが溶解していくような不安定な社会になって、行く末が案じられるだけに、なおさらPHPの責任と使命は大きくなっていると痛感している。



 私たちは松下の考え方をベースに、あるべき社会の姿、企業や経営者の在り方などを今の時代に合うような形で積極的に訴えていきたい。人間一人一人の人生も経営であり、政治も国家の経営にほかならない。個人の人生にも政治の世界にも松下の経営理念は通用する。



 ――松下さんは日本社会に対して、非常な危機感を持っていたようだが。



 その危機感は半端なものではなかった。特に昭和四十年代の後半からは国民に警鐘を鳴らす活動を続け、四十九年には『崩れゆく日本をどう救うか』という本を緊急出版した。松下政経塾を創設したのも、その表れだ。新党の結成も真剣に考えた。居ても立ってもおられない心境だったようだ。



 だから憲法の問題についても真剣に向き合った。憲法は、普遍性、時代性、国民性の三つにかなうものが望ましいと考えており、現行憲法は国民性、時代性の点で問題があると指摘していた。不磨の大典ではないのだから、適時検討し、必要なら改正すべきだと。



 何よりも松下は、日本の良き伝統精神が崩壊していくことを憂えていた。自主自立の精神や公徳心が急速に失われつつある。日本は古き良き伝統に戻らなければならないと考えていた。松下が願ったのは伝統精神の復活だ。これは経営ともかかわってくる。



 最近は欧米の合理主義、競争原理が幅を利かせているが、それでは必ず行き詰まる。松下は、国際化の時代になっても、日本には日本に適した経営の進め方があると喝破していた。



 ――松下研究を専門にしてきて、松下さんの偉大さはどういうところにあると思うか。



 確固たる理念と信念を持って、それが亡くなるまでぶれることなく一貫していたというところだろう。松下の場合、それらは単なる言葉ではなく、まさに血肉となっていた。



 今でも、独自の経営哲学やビジョンを掲げ、華々しい活躍を見せて注目を集めるトップは少なくない。しかし、そういう中から不祥事を起こして社会を騒がせたり、晩節を汚したりする人が出ている。つまり、言っていることと実際の行動が一致していない。



 その点、松下にはそういうことがなかった。口先だけではなく、世の中を良くしたいという願いや志を終生、体からあふれるくらい持ち続けた稀有(けう)の人だった。あの執念はどこから来るのかと、よく脱帽させられたものだ。



 ――松下さんの生き方や考え方の根底にあったのは何か。



 周知のように、松下は若くして両親や兄弟と死別し、小学校を中退して大阪の商店に奉公に出た。そこからたたき上げた立志伝中の人だけに、周囲のすべての人から学ぶという謙虚さを身に付けていた。作家・吉川英治の座右の銘「われ以外、皆わが師」を地で行った。



 そんな下積みの苦労を通じて悟ったのが、自然の理法に従うということだ。松下は、宇宙に存在するすべてのものを生み出した大本の力として「根源」というものを想定し、その宇宙根源の力が自然の理法として万物万人にあまねく働いており、その目指す方向は生成発展であると考えていた。従って、自然の理法に即せば必ず成功し、幸福になる。自然の理法に反すれば、失敗と不幸が待っている。そういう信念で、常に何が自然の理法に従うことなのか、何が正しいかを考えた。そして、その時に大切にしたのが素直な心で衆知を集めることだ。



 私たちは、とかく自分の損得や好き嫌い、欲望などを中心にして物事を判断し、行動する傾向がある。いわば私心をもって考え、行動するということだが、それでは物事のありのままの姿、真実が把握できず、その判断や行動は往々にして誤ったものになる。



 だから、物事の実相を正しくつかみ、誤りのない判断をしていくためには、できるだけ私心を去り、何物にもとらわれない心でものを見ていかないといけない。それが素直な心だ。それは、愛や慈悲の心、寛容や思いやりの心にも通じる。松下は「素直な心は、あなたを強く正しく聡明(そうめい)にする」という言葉を残している。



 社内に設けた「根源の社」に出向き、松下はそこで静かに瞑想(めいそう)し、祈る時間をとっていた。宇宙の根源に感謝するとともに、自然の理法にかなった生き方、経営ができているか、素直な心になっているかと自省することを忘れなかった。



 ――松下さんに限らず、松下さんが経営の第一線で活躍していたころは石坂泰三さんとか土光敏夫さんなど、スケールの大きい国士のような指導者が並び立っていた。もはやあのような経営者の出現は望むべくもないのだろうか。



 あの方々には何か一つのよりどころ、宗教や哲学があった。土光さんは熱心な法華経の信者だったし、石坂さんも哲学の教養の持ち主だった。禅や西田哲学といったものが、当時の財界人のバックボーンとしてあったという指摘もある。



 松下を含め、あの人たちは自分の企業のことよりも国全体のことを考えていた。私心なく、公の心をもって判断し行動した。それが今は自分の企業のことばかり考えるような傾向となってしまっている。失敗しているのは皆、そういうたぐいの人たちではないか。大切なのはやはり、公の心だ。



 松下にとって会社経営というものは、まさにPHPが目指す繁栄・平和・幸福を実現する手段にすぎず、人間の本質や社会の在り方、さらには自然、宇宙などを考えた上でのことだった。そのあたりが昨今の経営者とは決定的に違う。



 ――公的精神の復興を願った松下さんの呼び掛けは重みを増している。



 名古屋JC(青年会議所)で話した時、松下は当時八十一歳だったが、青年実業家たちに「欲望には私的欲望と公的な欲望がある。私的欲望をできるだけ抑えて、公的欲望を持つようにしないといけない」と諭した。



 また、「自分はこの歳になっても公と私の葛藤(かっとう)をしている。ましてや皆さんのように若い人は、私的欲望を抑えることは容易なことではないだろう。けれども、いつもそう意識することが大切だ」と強調していた。



 経営者は多くの従業員とその家族の生活に責任を持っている。だから自分の個人的な欲望だけで事を判断してはならない。その責任の重さをいつも忘れないことが重要だ。その思い、その意識が経営者の血となり肉となっているかどうかによってその会社や組織の命運が分かれる。そういう責任の自覚が欠如した経営者の例があまりに多過ぎる。



 ――宗教者に期待する思いも強かったのではないか。



 宗教者の社会的役割に期待していた。宗教は人間の繁栄と幸福の実現にとってなくてはならないものだとの認識を持っていたからだ。



 PHP活動を始めて間もないころ、ある伝統仏教の教団で話をした時、松下は「今こそ皆さんは辻々に立って、人心の荒廃した社会を立て直すために教えを説くべきではないのか」と呼び掛けたが、別の論理でかわされてしまったことがある。



 しかし、それでは今現在、苦しんでいる人々を救えないと松下は切実に考え、PHPの活動にさらに力を入れるようになった。基本的には正しい真理を実践する宗教の興隆を願っていた。



 さとう・ていじろう 昭和31(1956)年、新潟県生まれ。同55年、慶應義塾大卒業後、PHP総合研究所に入社。PHP理念や松下幸之助の経営観を研究する傍ら、関連書籍、テープ集などの編集や制作に携わる。その間、松下幸之助を囲んだPHP理念研究会に出席し、同理念をまとめる作業を行う。平成元年から『松下幸之助発言集』全45巻の編纂(へんさん)に専従。同14年、第一研究本部長。同17年から取締役。立命館大、京都産業大の非常勤講師なども歴任。著書に『松下幸之助 成功への軌跡』『経営の知恵・トップの戦略』その他。
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by sakura4987 | 2007-08-14 12:49

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