◆ベトナム 高度成長にらみ原発計画 (世界日報 07/8/21)
電力インフラを整備へ
インドネシアに続きベトナムでも、原子力発電所建設計画に弾みがついている。東南アジアで現在、原発を所有している国はなく、実現すれば同地域初となる。
ベトナムでは電力のインフラ整備が経済成長のスピードに追い付かず、中国などから電力を購入していることから原発計画を急いでいる。
ベトナム政府は原発の建設予定地を、同国中南部ニントゥアン省に決定済みだ。二〇二〇年の稼働を目指し、百万㌔㍗の原子炉二基を建設する。
ただ投入される原発建設費が三十億㌦と高額なことと、原発建設や運営などにかかわる専門家など人材を確保することに困難を伴うことで、原発計画がスムーズにいくかどうかはまだ未定だ。
それでも日本や韓国、フランス、ロシア、中国などがベトナムの原発計画を支えていくサポート態勢構築に動き出している。原発建設には外国の技術支援が不可欠となる。
とりわけベトナム支援へ積極的な動きをみせているのが中国だ。トンキン湾をはじめベトナムとの国境問題では全面解決にこぎつけるなど対越関係改善にリーダーシップを発揮した中国は、「原子力の平和利用に関する中越協定」にも調印済みだ。中国は今後ベトナムの原発建設やそれにかかわる技術支援など積極姿勢を示している。
ベトナムの原発建設計画が本格的に動き出したのは、七年前の共産党大会からだ。同大会で採択された十カ年社会経済発展戦略に「原発利用の可能性研究」といった文言が盛り込まれたことで、国家プロジェクトとして正式にスタートしたからだ。
一方、先行するインドネシア政府は一一年までに同国初の原子力発電所を建設する方針だ。建設地はジャワ島中部で、六千メガ㍗の電力を供給。総事業費は九十億㌦(約一兆六百億円)とビッグプロジェクトとなっている。
インドネシアが原発計画推進へ舵(かじ)を取ったのは、原油価格が高騰する中、早急に脱石油化を推進する課題が課せられている背景があるからだ。原発の売電価格は一㌔㍗時当たり四セント程度とされ、原油と比べ割安となる。
なおベトナムやインドネシアの原発計画に影を落としているのが昨今の天然ウラン高騰だ。天然ウランは原発の核燃料に使われるが、中国やインドでも原発新設計画が浮上。
これが天然ウラン価格の押し上げ要因となって、四半世紀ぶりの高水準に達している。
九基の原発を稼働させている中国は、新たに二基を建設中だ。さらに二〇年までには原発発電量を現在の五倍程度に引き上げる予定で、三十基前後の原発建設が見込まれている。
また経済成長著しいインドも、原発発電量を現状の二百八十万㌔㍗から六倍に増強する計画だ。

