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◆【やばいぞ日本】第2部 資源ウオーズ(3)不測の事態 何もできず



 (産経 07/8/21)


 東シナ海の日中中間線沿いに位置する中国の春暁ガス油田の一つ、「天外天」で、生産開始を意味するフレア(炎)が確認できた=2005年9月(本社機から)(撮影・植村光貴)



 日中両国が係争中の東シナ海の海底ガス油田で、後塵(こうじん)を拝している日本の非力さを示す象徴的な会談が2004年10月にあった。当時の中川昭一経済産業相が都内のホテルで海上自衛隊幹部と極秘に会談したことである。



 日本が日中中間線から日本側の排他的経済水域(EEZ)内の海底資源を試掘した場合、中国の妨害活動に海自がどう対応するかを見極めたかったからだ。「不測の事態に海自は何をしてくれるのか」との問いに対し、海自幹部はこう答えた。「法律がないから、何もできません」



 民間石油会社「うるま資源開発」会長などとして、30年以上も東シナ海開発に取り組んできた荒木正雄氏(84)も、国としての姿勢の違いを次のように語る。



 「中国は自国の海にするため作戦を練り、着々と手を打ってきたのに、日本はただ手をこまねいていただけです」



 1968年、国連アジア極東経済委員会(ECAFE)は「(東シナ海は)世界的な産油地域になる」との報告書をまとめた。以来、中国は70年代に石油探査、80年代に試掘、90年代末には平湖ガス油田を開発、供給を始めた。2000年には中間線から中国側にわずか4キロの白樺(中国名・春暁)ガス油田の開発に着手した。



 日本は、自国が主権的権利を持つ海底資源がストローのように吸い上げられそうになり、やっと重い腰を上げた。



 経済産業省は04年、資源探査船をチャーターし、日本側海域で初めて立体的な地質構造の探査を行った。その結果、春暁ガス油田の地質構造が日本側まで連続して広がっていることが判明した。05年4月、経産省は中間線の東側海域の北緯28度以北に鉱業権を申請していた帝国石油に試掘権を付与した。



 日本側海域に鉱区申請していたのは帝石に加え、うるま資源開発、石油資源開発、芙蓉石油開発の4社だった。30年以上にわたり、棚上げされていた開発が動き出すかと思われたが、試掘には至っていない。試掘への妨害行動が予想されるためである。



 さらに経産相が05年秋、中国に毅然(きぜん)と対応する中川昭一氏から、対中融和派の二階俊博、続いて甘利明の両氏に代わり、この問題を棚上げしようと判断したことも背景にある。



 中国の行動は露骨だ。前述の資源探査船に対し、中国側は拡声器で大音量を流し、音波調査を妨げた。国家海洋局の調査船は日本の調査船の前方にしばしばたちはだかった。05年9月には中国海軍の最新鋭のミサイル駆逐艦など5隻が周辺で活動した。唐家●国務委員(元外相)がその5カ月前、日本の試掘に対し「問題が根本的に変化する」と警告したことを具体的に示したかったのであろう。



 これらは、中国が大陸から沖縄トラフまでを自国の大陸棚として日本は一切権利はないとの立場をとっているためだ。



 一方、日本は1996年に成立させた「EEZと大陸棚に関する法律」で、「資源開発などの権利は200カイリ(約370キロ)まであるが、その行使は中間線までとする」とした。東シナ海は東西が400カイリに満たない。国連海洋法条約は「衡平(こうへい)な解決」を求めているが、日本は日中間の中間線を境界と設定したのだ。双方の主張が食い違う海域の境界線は政治交渉で決着するしかない。それを日本は政治交渉する前に自分から線を引き、一方的に交渉から降りてしまった。



 日本側海域内の原油・天然ガスの推定埋蔵量は、日本の国内消費量の1年半分にあたる約30億バレル相当とされる。自国の直接的な経済権益を守ろうとしない日本はこのままでは宝の海をみすみす失いかねない。



 ■横取りされる海底のガス油田



 日本が自国海域での試掘を棚上げせざるを得ない理由の一つは、政府、自民党内部の意見がまとまっていないことだ。



 「日本の国民、日本の権利、日本の経済的利益を守るというのは国の責務と考えています」



 中川昭一自民党政調会長が経産相だった2005年10月の参院経済産業委員会答弁だ。それまでの日本側海域での探査、試掘権付与などの対応は中川経産相主導である。



 これに対し、後任の二階俊博前経産相は昨年1月、地元の和歌山県で「私は試掘の道をとらない」と述べた。二階氏は昨年6月、試掘権を付与された帝国石油のトップ2人を経産省に呼び、「あなた方は本当に試掘に行かれるつもりか」とただしたとインタビューで明らかにしている(「二階俊博の挑戦」)。 



 帝石側は「平和の海でなかったら、試掘に行けません」と答えたというが、許認可を握る主管官庁首脳の試掘への意向は痛いほどわかったのではないか。



 日本政府のまとまりの悪さも問題だ。



 自民党が03年に発足させた海洋権益に関するワーキングチーム(武見敬三座長)では、次のような責任のなすりあいが演じられたという。



 日中の中間線を策定するために外務省が中国と政府間協議を行った際、経産省資源エネルギー庁は傘下の機関による日本側海域の地質構造の調査データを提供していなかったことが判明した。「外務省から情報を欲しいといわれなかった」とエネ庁は主張した。



 その外務省は中国に無用の波風を立てないという事なかれ主義を取ってきた。



 1992年、中国が日本の固有の領土である尖閣諸島を中国領土と明記したとき、日本政府の抗議は駐北京公使による「口頭」でしかなかった。中国は同時に南沙諸島も自国領土としたが、領有権を主張していたベトナム、マレーシアは「撤回すべきだ」と文書で抗議した。口頭では国家の意思は明確な形で残されたとはいえない。



 日本側の準備不足も目についた。日本自らが海底の地層を立体的に調査しようとしても日本は三次元の物理探査船を持っていなかった。ノルウェー船籍の探査船をチャーターしたわけだが、中国は12隻、韓国は4隻保有している。



 ただ、日本も自国の海洋権益が危うくなったことで、不備を少しずつ是正し始めている。



 今年4月にはEEZでの試掘などを可能とする海洋建築物の安全水域設定に関する法が成立した。長年、中国の海洋進出をウオッチしてきた平松茂雄元防衛研究所研究室長はこれを一歩前進とみるが、安全水域に中国の船舶が立ち入ったとき、だれが安全を確保するのかという重大な問題が欠落していると指摘する。



 海上の治安維持は海上保安庁の担当だが、公海上で外国船舶に権限を行使することはできない。海上自衛隊に海上警備行動が命じられても、海保と同じ権限しか与えられていない。「普通の国」の軍隊なら必ず保持している平時の自衛権を持っていない自衛隊は動こうにも動けない。



 一方、中国は「海洋大国」への道を国家戦略に掲げ、春暁ガス油田周辺の海を「中国の表玄関」(中国軍関係者)とみている。日本は中間線の中国側海域を含めた共同開発を提起したが、中国の回答は尖閣諸島周辺と日韓大陸棚共同開発区域であり、日本の主張を受け入れる気配はない。



 日本が国のかたちを整え、中国にきちんと向き合うことで、初めて「平和の海」とする交渉の機運が熟するのではないか。


 ●=王へんに旋
by sakura4987 | 2007-08-25 15:43

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