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◆消費税を上げるな



甘えを温存する財政出動では地域間格差は解消できない

2007年9月19日 水曜日 谷川 博
 
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20070918/135166/


 地域間格差の是正は次期政権の大きな政策課題だ。参院選大敗を受けて、自民党内では地方交付税の増額など国の財政出動を求める声が日増しに強まっている。だが、埼玉県志木市長時代に“改革派市長”として鳴らした穂坂邦夫氏は、「国の財政出動では格差問題の根本的な解決にならない」と指摘する。
 
穂坂邦夫(ほさか・くにお)氏    前埼玉県志木市長

NBO 次期政権では地域間格差の是正が大きな政策課題になっています。穂坂さんは埼玉県志木市長の任期中に行政改革を推進し、「改革派市長」として名を馳せました。現在は、NPO法人(特定非営利活動法人)代表として地方自立の課題にも取り組んでいます。その穂坂さんの目に、今の格差論議はどのように映っていますか。 

穂坂 地域間格差が顕在化しているのは、ある意味、必然とも言えるのです。 

 もともと地域間の格差は存在していたのですが、これまで国が地方に莫大な地方交付税や公共事業費などを投じてきたので、その格差が今ほど目立たなかっただけのことです。しかし、小泉改革で地方交付税や公共事業費などを大幅に削減したことで、それが一挙に顕在化したのです。 

 ちょうど、川の水量が多い時には川底の様子は分かりませんが、川の水量が減ると川底のデコボコが見えてくるのと同じ現象です。「それならば、川底のデコボコが見えないように、再び川の水量を増やせばよいではないか」と思うかもしれません。しかし、事はそんなに単純ではありません。 

 何しろ、今や国の借金は1000兆円近くにも達しているのですから。1990年代末に政権を担った小渕(恵三)内閣が景気浮揚策として地方に公共事業費を大盤振る舞いしたことで、国の借金が一気に膨らんだのです。小泉(純一郎)内閣でなくても、以後の政権が財政を切り詰めようと考えるのは当然だったのではないでしょうか。今後の政権でも、その状況に変わりはありません。 

 問題は、これまで国が格差是正の抜本策を講じることなく、漫然と公共事業費を地方にばらまくなどして、格差の存在を「隠してきた」ことにあるのです。要するに、“事実の隠蔽”と“問題の先送り”に、事の本質があるわけです。 


地方交付税の増額は格差問題の解決にならない

NBO 最近、地方自治体からは交付税増額などを求める声が強まっています。しかし、それでは格差問題の根本的な解決にはならないわけですね。 

穂坂 ええ。現在の地域間格差には税収格差のほか、産業格差、購買力格差、大学教育格差、人口構造格差、医療福祉格差など多様な問題が含まれています。交付税増額は、直接的には自治体間の税収格差に対応するものです。 

 自治体がその増えた交付税を多様な格差を是正するために有効に活用してくれればよいのですが、下手をすると自治体が息をつくだけで、問題は一向に解決しないという事態になりかねません。交付税増額で役所だけが生き延びても、地域の産業や医療などが滅びてしまっては何にもならないのです。 

 しかも、本来なら今の局面で国は交付税を増やすことはできないはずです。既に、国は地方交付税特別会計で莫大な赤字を抱えています。国の財政健全化を考えれば、やはり今後も交付税は減らしていかざるを得ないでしょう。 

 それに、すべての自治体が一様に交付税の増額を望んでいるわけではありません。現に、「行政経費を減らしたい」と考えている首長さんは大勢います。私は志木市長時代に「市町村サミット」を主催したのですが、その会合に出席した真面目な首長さんらはこんな切実な願いを持っていたのです。 


「国にお金がないことは分かっている。だから、国に“あれをやってくれ、これをやってくれ”とは言えない。我々だって歳出を減らしたいと思っている。しかし、どこまで歳出を減らせばよいのか。国にはその具体的な方向性を示してもらいたい。それさえ分かれば、歳出削減はさほど難しいことではない」 

 こうした首長さんらの頭を悩ましているのが、国の財政政策の“ブレ”なのです。国が財政の引き締めに動いている時には、真面目な首長さんらは自分たちの自治体でも財政を引き締めようと努力します。ところが、その矢先に国が財政を緩めたりすると、そうした首長さんらは既得権の代表者とも言える地方議員から激しい突き上げを食らうのです。「せっかく国からお金がもらえるのに、なぜ我々の自治体だけが財政を引き締めなければならないのか!」と。 

 最近、政府が自治体の要望を受け入れる形で再び交付税の増額を検討しているようですが、真面目な首長さんにとってこれほど迷惑な話はないのです。そもそも、こんなにクルクルと国の財政政策が変わるようでは、結局、自治体は歳出削減に取り組まない方がよいということになりかねません。 


地方を甘やかした国が「地方は自立していない」とは何事か!

NBO 国の交付税増額は歳出削減に前向きな自治体の意欲を削ぐとともに、歳出削減に不熱心な自治体の甘えを助長するわけですね。 

穂坂 そう。国はよく「地方は自立していない」と言いますよね。最近、私がある国の委員会に出席した際には、関係者からこう言われました。「地方は自立性がないから、その回復が先決だ」と。すぐさま私は「あなたね、実態が分からないとダメですよ」と言い返してやったんです。 

 例えば、公共事業です。普通、国は公共事業を景気浮揚策として補正予算でやりますよね。そして、地方には「事業費は国が100%面倒を見ますから、どんどん使ってください」とハッパをかける。そうすると、地方でも自分の懐は痛みませんから、橋や道路をバンバン作ってしまう。地方にしてみれば、もともと国からもらったお金ですし、しょせんは「ヒトのカネ」という意識なんです。 

 これまで国は公共事業費をばらまくことで地方をさんざん甘やかしてきた。親が過保護にすれば、当然、子供は自立できませんよ。ですから、今さら国が地方の自立性を問題にするのは何をかいわんやなのです。 


地方の歳出は「14兆1000億円」は減らせる

NBO ただ、今や多くの自治体の財政が逼迫しています。国からの財政支援がなければ、財政難の自治体は格差是正のための地域活性化対策に取り組めないのではないでしょうか。 

穂坂 そんなことはありません。自治体が無駄な行政経費を削減して、その浮いたお金を格差是正対策に充てればよいのです。現在、地方の歳出額は総額で八十数兆円に上っていますが、我々の試算ではそのうち14兆1000億円は削減できると見ています。これだけあれば、ある程度の対策を講じられるはずです。 

そもそも、都道府県や市町村の事業には無駄が多過ぎます。我々の調べでは、「これは本当に行政がやらなければいけない仕事なのか」といった事業がゴロゴロしています。ある県では「動物の正しい飼い方指導」に年2億2000万円も出しています。その県下のある市でも「スポーツ指導者養成団体育成事業」に年800万円も使っています。 

 加えて、都道府県や市町村の事業には重複が多い。先ほどの例で言えば、県が「老人クラブ活動助成費」で年1億円以上も出している一方で、市も「高齢者敬老事業」で年2億円ほど使っています。また、県が「住宅融資事業」に年52億円も出している傍らで、市も「住宅情報相談体制ネットワーク事業」と「住宅資金融資事業」で合わせて年4000万円ほど使っている。つまり、県と市が同じような事業をバラバラに行っているわけです。 

 こうした都道府県と市町村の事業の無駄や重複を減らしていけば、前述したように、約14兆円の行政経費は簡単に削減できるんですよ。 

 これは地方だけの問題ではありません。国の事業でも同じことが言えます。例えば、国の地域活性化対策の1つに地方への移住促進をうたった事業がありますが、実はその名目で農林水産省と国土交通省と総務省が似たような事業を行っています。そして、各省がその事業のために豪華なパンフレットを作ったりタレントを起用したりして、年間に何十億円も支出しています。これはほんの一例に過ぎませんが、国でもこのように錯綜した事業が多くあるのです。 

 要するに、国と都道府県と市町村は、それぞれの役割分担を明確にして、事業の錯綜や多重投資を避けなければいけない。そして、民間にできることは民間に任せるといった「官民の役割分担」も同時に進める必要がある。 


消費税引き上げ論は、国と地方と国民の甘えだ

 その意味では、このところ政府が盛んに議論している消費税の引き上げはやはり見送った方がいい。安易に消費税を引き上げれば、国も自治体も歳出削減の手綱を緩めかねません。 

 繰り返しますが、国も自治体もその気にさえなれば、大幅な歳出削減を簡単にできるのです。本気で取り組んでいないだけですよ。そんな中で新たな収入があれば、ますます国と自治体の財政規律は緩んでしまいます。そんなことでは、いつまで経っても行政経費の無駄は排除できません。消費税を引き上げる前に、まず歳出削減を徹底させる必要があります。 

穂坂 邦夫(ほさか・くにお)氏
前埼玉県志木市長、NPO法人・地方自立政策研究所理事長
1941年生まれ、埼玉大学卒、埼玉県職員、足立町(現志木市)職員を経て、72年志木市議会議員、82年志木市議会議長、85年埼玉県議会議員、97年埼玉県議会議長、2001年7月から2005年6月まで志木市長。退任後、NPO法人・地方自立政策研究所を設立、現在に至る。主な著書に、『市町村崩壊-破壊と再生のシナリオ-』(スパイス)、『教育委員会廃止論』(弘文堂)、『国の常識は地方の非常識』(共著、PHP研究所)など。
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by sakura4987 | 2007-09-22 15:05

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