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◆【古典への誘い】美しい世界 (産経 07/10/2)




 「見渡せば柳桜をこきまぜて都ぞ春の錦なりけり」。美しい春の景色を詠んだ『古今和歌集』の素性法師の和歌である。明治期に小学唱歌(「むすんでひらいて」の元歌)になったように、日本人の率直な美意識を代表する一首だ。



 『新古今和歌集』の「見渡せば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋の秋の夕暮れ」も、同じころに小学唱歌「秋の夕暮れ」になり、日本人に親しまれてきた。「三夕の和歌」として有名な藤原定家の作で、先の一首とは時代が隔たり、季節も異なるとはいえ、両者は対極的な美の世界を表しているといえる。



 先の一首は、能「西行桜」の中にそのままの形で取り込まれている。能の謡は、和歌を基本に作られているものも多く、詩的な修辞の中で物語は立ち上がる。人間の出会いであれ、別れであれ、優れた美的感覚をもつ言葉(詞章)に支えられ、登場人物の思いが交錯してゆく。



 ここで大事なことは、能舞台には、わずかな作り物以外、視覚的な要素が排除されている点だ。能ではあの世とこの世、あるいは百八十度異なる対照的な場面が交錯することがある。これを装置(大道具)の力で表現することは難しい。和歌から採られた謡の言葉があり、その奥には日本の美しい風景が横たわっているからこそ、何もない能舞台の上、観客の頭の中に、比類のない美しい世界が広がるのである。
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by sakura4987 | 2007-10-10 12:50

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