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◆【正論】東京大学医学部特任教授・加藤尚武 枯渇見据えレアメタル政策を



 (産経 07/10/29)


 ■中国は軍事上の戦略から大転換


 ≪ニューカレドニアの買収劇≫

 「天国にいちばん近い島」というと原作は森村桂の小説、原田知世主演の映画で有名な太平洋上のフランス領・ニューカレドニア島である。1860年代にニッケル鉱石が発見され、現在では世界のニッケル年間産出量の約10%を占めている。日本のニッケル鉱石の年間総輸入量約400万トンのうちの約50%がニューカレドニア島産である。

 原鉱石500万トンから6万トンのニッケルができる。問題は、廃棄物として捨てられる土石や水が深刻な環境破壊を生み出していることである。『入門・資源危機』(新評論)の著者・谷口正次氏(国連大学ゼロエミッション・フォーラム理事)によると、州知事が関与している建設会社が土木工事を請け負っていて、住民の訴えが事実上退けられているという。

 背景にあるのは、ニッケルの値上がりと、それにともなう企業買収劇である。2003年との比較で、ニッケルの価格は6倍近くである。金とアルミニウムが2倍、銅と亜鉛が5倍弱といわれているから、ニッケル鉱山の価値は大きい。二転三転した買収劇の勝利者は、ブラジルの企業で、ニューカレドニア島の鉱山をまるごと買い占めたという。

 ≪開発より買い付けが割安≫

 金属類の世界的な値上がりの中で、特に注目に値するのはもともと産出量の少ない「レアメタル」と呼ばれる31種類の金属である。たとえば携帯電話にはタンタルが使われているが、それはタンタルが金よりも腐食に対して強い特性をもつからである。パソコンなどで使われている磁石の原料となるネオジミウムも極端な値上がりを示していて、日本の磁石産業の存立があぶないとまで言われている。

 特に重要なのは軍事上の戦略物質であって、アメリカのような資源大国でも、戦闘機のエンジンに欠かせないレアメタルのほとんどを輸入に頼っている。ニッケルの73%、クロムの91%、コバルトの93%、アルミニウムの94%、ニオブの100%を輸入に依存しているといわれている。中国のトウ小平氏が「レアメタルを武器にすれば中国は世界の頂点に立つことができる」と発言したそうだが、軍事力を稀少資源という視点で見れば、まさにその通りである。

 その中国が、レアメタルの政策を大転換して、これまでレアメタルを輸出して外貨をかせいできたのに対して、輸出を制限してレアメタルを大量に輸入しようとしている。資源を売るよりは、資源を使って製品を売る方が利益が大きいという段階に中国の技術が進歩を遂げたのである。また自国の埋蔵資源を新規に開発するには莫大(ばくだい)な資本投下が必要で、それよりはアフリカなどから買い付けた方がコストが低くて済むという理由もあるだろう。しかし、世界中でレアメタルがいつかは必ず枯渇するという可能性を考えた場合、ともかく自国で埋蔵されているレアメタル資源は最後までなるべく手をつけないでおくという計算もあるかもしれない。

 ≪国内の完全な回収体制を≫

 日本でもアメリカに倣って、1983年以来レアメタルの備蓄策が採られているが、「国内消費の2カ月分が目標」という対策では不十分であることがはっきりしている。国家政策としてのレアメタルの持続的な確保のための政策が必要である。

 まず第1にすべきなのは、国内にある電気製品などに含まれるレアメタルの完全回収体制を作ることである。谷口氏は「金を大規模に露天掘りで採掘している鉱山の鉱脈中の品位は1トン当たり0・3グラムから1・0グラムである。それに対して、携帯電話を1万個(約1トン)集めてくると280グラムの金が回収でき、ノート型パソコンを350台(約1トン)集めてくると92グラムの金と36キログラムの銅が回収できる」(『入門・資源危機』)と書いている。

 次に必要なのは、ニューカレドニア島のニッケル資源のような環境破壊をともなう採掘に対して、環境保護のコストを引き受けることによって、供給を確保するというような戦略である。

 最後に必要なのは、埋蔵量の少ないレアメタルを、埋蔵量の多い資源で代替するような技術開発である。たとえば人工ダイヤモンドの半導体機能を開発して、エネルギー効率の高い「ダイヤモンド・ライト」を発明した平木昭夫教授(高知工科大学)は「タバコの煙からでもダイヤモンドは作れる」という話をしている。ダイヤモンドの原料は炭素であるから、ほとんど原料は無限にある。それと同じように稀少資源と同じ機能をもつ豊富な資源による製品を開発することが、人類の技術開発の基本的な目標となる。(かとう ひさたけ)
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by sakura4987 | 2007-11-03 14:00

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