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◆【竹中平蔵 ポリシー・ウオッチ】増税再建を回避せよ



 (産経 07/10/22)


 ■空洞化する経済論議


 郵政民営化がスタートした。10月1日、歴史的な初日を大きな混乱なく迎えたことを、まずは評価したい。民営化の議論の過程で、多くの人々がシステムの統合が間に合わないということを理由に、民営化の先延ばしを主張した。それに対し、専門家委員会(座長・加藤寛前千葉商科大学長)は対応可能と結論したが、その見方が適切なものであったことが証明された。また、これだけの巨大組織を無難にスタートさせた西川善文日本郵政社長はじめ、経営者のここまでの実績は、しっかり評価されるべきである。



 民営化とほぼ時を同じくして、福田内閣が始動した。テロ対策特別措置法の延長問題を焦点に、極めて微妙な国会運営が求められる状況にある。懸念されるのは、当面の問題に汲々(きゅうきゅう)とするなかで、経済をめぐる政策論議がほとんどなされていないことだ。



 こうしたなかで現実の経済には、新たな対応を求める大きな変化が現れつつある。今年第2四半期のGDP成長は、マイナス1・2%とマイナス成長になった。平成18年度にデフレを解消するという公約は達成されず19年度についてもこの達成は、ほぼ絶望的である。サブプライム問題などによって、気がつけば世界各国が成長率の下方修正を行っている。



 一方で、政策の側でも改革スタンスの揺らぎが見られる。地方への対応のため補正予算を組む動き、すなわち安易に財政規律を緩める動きが本格化してきた。官僚たちの間では、「霞が関は成長産業」という認識が広がっている。福田康夫首相による最初の所信表明演説では、これまで安倍内閣下の骨太方針で用いられてきた「成長力強化」という表現が、「安定した成長」になった。



 このように、経済面で切実な課題があるにもかかわらず、真摯(しんし)な経済論議がほとんど聞かれない。メディアはもとより、衆参の予算委員会でも以上のような問題は、ほとんど話題にすらならなかった。政治の混乱の中で、気がつけば経済政策論そのものが空洞化しているのである。政治が目の前の対応に追われ経済論議が空洞化したことが、1990年代の失われた10年につながったことを思いだす必要がある。



 ■改革加速で成長再建


 経済の深い議論がないままに、財政政策に関して「成長派」か「財政再建派」かという対立概念が定着しつつある。しかし、これは不適切なものであり、政策の本質を誤らせる。正しくは、「成長再建」か「増税再建」かというべきである。いずれの立場も、財政再建は不可欠と認識し、それを目指している。問題はその手段だ。改革を進め、成長促進を実現して財政再建するのが「成長再建派」である。これに対し、改革に消極的で結果的に成長も高まらない、だから増税に頼るというのが「増税再建派」である。したがって、結果的には「改革積極派」か「改革消極派」か、という言い方もあてはまる。現実に増税を主張する人たちには、おしなべて改革に消極的な人々が多い。また、増税再建の考え方に立てば、少々財政支出を拡大しても後で十分な増税をすればよいということになり、歳出削減はむしろおろそかになる。



 こうした点を明確にする意味でも、先般の経済財政諮問会議で平成23年(基礎的財政収支均衡の目標年)の税収不足に関する試算が示されたのは注目される。それによると、今後3%の名目成長を達成し、かつ予定された歳出削減を行えば、増税の必要はない。過去5年のOECDの平均名目成長率は5%である。政府・日銀がきちんと運営すれば3%成長は実現できるシナリオだ。しかし、名目成長が2・2%と低く、かつ毎年1兆円の財政支出を増加させれば、税収不足は6・6兆円になる。これは、消費税率を約3%引き上げることを意味する。要するに日本経済は、政府・日銀の政策運営如何(いかん)で、消費税が5%据え置きか8%かが決まるのである。



 諮問会議は、こうしたことの意味を明確に発信し、経済論議の空洞化を食い止める役割を果たすべきだ。昨今、諮問会議の注目度は大きく低下している。だからこそ開き直って、新しいスタイルを確立するチャンスだ。



 これまでの諮問会議運営の難しさは、民間議員ペーパーで高いタマを投げつつも、最後は首相の指示も得て取りまとめる必要があったことだ。したがって、必要な「落としどころ」を探りつつ議論する必要があった。しかし、与野党ねじれ国会という状況下では、諮問会議で取りまとめをすることの意味は大きく後退した。諮問会議の役割は、より長期の本質的政策問題について徹底した正論を展開することだ。民間議員4人連名の政策提案にこだわる必要もない。4人連名は、諮問会議での“決定”を念頭に考えられた手法である。もはや、一人ひとりが正論を吐けばいい。



 経済成長については、安定ではなく加速であることを明確に主張すべきだ。長期的な正論として、日本版SWF(ソブリン・ウエルス・ファンド)や東大など国立大学の民営化はぜひ提案してもらいたいテーマだ。世界の各国は、SWFを当然のこととして政策論議を進め始めた。入り口で立ち往生している日本は、世界の議論から取り残されている。また国立大学民営化についても、世界の大学トップ10のなかに国立大学は一校もないという現実を直視すべきだ。



 経済論議が空洞化し十分な議論がないまま、霞が関・永田町の空気は一気に「増税再建」に向かおうとしている。社会保障を中心とする長期的な財政負担や地方分権のための財源を考えると、将来における消費税の役割は極めて大きい。だからこそ、財政健全化の第一目標である基礎的収支回復の段階で、安易な増税再建に走ってはならない。「成長再建」という経済政策の正道を踏み外せば、それは危うい兆しを見せはじめた日本経済をさらに危ういものにする。
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by sakura4987 | 2007-11-03 14:04

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