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◆【科学】「海洋温度差発電」佐賀大が牽引/効率上げ実用化目指す



 (世界日報 07/12/3)


 ■無尽蔵の資源 世界が注視

 ■真水、水素…副産物も魅力


 地球温暖化の防止策として、太陽光や風力など自然に由来する再生可能エネルギーへの期待が高まっている。海面と深海の温度差を利用して電力を得る海洋温度差発電もその一つ。佐賀大学が世界に先駆けて実用化への道を開いた分野で、インド、サウジアラビア、パラオなど海外からも注目されている。資源枯渇の心配がなく、電力の副産物として真水、水素、リチウムなどが得られる利点もある。海洋温度差発電の仕組みと今後の課題などを紹介しよう。



 海洋温度差発電の仕組み自体は簡単で、19世紀に提唱された。



 太陽熱で温められた表層の海水(約30度)で沸点の低いアンモニアを気化させ、その蒸気で発電用のタービンを回す。使い終わった蒸気は、深層からくみ上げた低温(約6度)の海水で冷やし、液体に戻ったアンモニアを再利用する。このサイクルの繰り返し。基本的には、海水を利用して太陽エネルギーを電力に変換するシステムだ。



 総発電量から、アンモニアを循環させるための電力を差し引いたものが正味電力と呼ばれ、実際の発電能力となる。



 佐賀大海洋エネルギー研究センター(IOES、佐賀市)の門出政則センター長は、「エネルギー源は無尽蔵。保守費用以外のコストはほぼゼロだ」と話す。佐賀県伊万里市のIOES伊万里サテライトに設置した実証プラントでは2005年、6・3キロワットの正味出力獲得に成功した。実用レベルにはまだ遠いが、門出さんは「今後はプラントのさらなる効率化を目指す」と意気込む。



 佐賀大が海洋温度差発電の実験をスタートさせたのは1973(昭和48)年。第1次オイルショック直後で、世界中で研究が活発化した。



 最初の課題は、アンモニアを気化させる蒸発器と、液体に戻す凝縮器の熱交換効率を上げることだった。当初のパイプ状の熱交換器では表面積が小さく非効率。佐賀大チームが開発した薄い板状のプレート式熱交換器で「効率が飛躍的に向上した」という。続いて、アンモニアにごく少量の水を加える独自の「佐賀大方式」を開発。実用化を目指せるまでに効率が上がり、世界をリードするきっかけとなった。



 ただし、現在の技術だと発電には20度以上の温度差が必要で、北緯20度~南緯20度に立地条件が限定される。また、洋上に設置するため大規模化が難しい。



 佐賀大は04、05年にインド政府と協力し、インド洋沖合約50キロに全長77メートル、幅14メートルの大型実証プラントを設置したが、いずれも台風などの影響で長さ1キロに及ぶ取水管が流され失敗している。



 門出さんは「海洋温度差発電は、エネルギー問題を一気に解決する夢のエネルギーではないが、人口数万人程度の島嶼国に向いた小規模システムには適している」と話す。



 たとえば太平洋ミクロネシアのパラオ共和国。人口約2万人の小さな国で、数万キロワット程度の発電プラントですむ。佐賀大方式に注目したパラオ政府は01年、すべての発電を海洋温度差発電に転換する方針を打ち出した。



 一方で、副産物に注目する国もある。発電に使った温海水は0・03気圧に減圧すると蒸気化し、これを使用済み冷海水で冷やせば淡水が作れる。さらに、この淡水を電気分解すれば質の高い水素も作れる。深層冷海水は、携帯電話などの電池に使われるリチウムが0・1~0・2ppm含まれ、回収すれば再利用できる。



 淡水が貴重なインドでは、発電施設としては失敗に終わった施設を淡水化プラントに転用、今年3月に成功を収めた。産油国のサウジアラビアやクエートでは、精油所の温排水を利用して、佐賀大の技術を使って淡水を得る計画が進む。



 門出さんは「発電に必要な温度差を小さくし、利用可能な地域を拡大することが課題。工場の温排水や温泉など、さまざまな可能性を探っていきたい」と話している。
by sakura4987 | 2007-12-10 16:56

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