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◆財政を内政問題と思うな (産経 08/1/18)




 【土・日曜日に書く】論説副委員長・岩崎慶市


≪■ユーロ支える強い意志≫

 「国と地方は財政赤字で同等の痛みを分かち合う合意がある」とのドイツの毅然(きぜん)とした態度に感心していたら、フランスが「それを見習いたい」といった。これには思わず耳を疑った。

 歴史的に犬猿の仲にあった大陸欧州2大国の変化に驚いたのは、昨年、両国財務省を訪ねたときだった。典型的地方分権国家と中央集権国家である。何がこうも意識を変えさせたのか。言うまでもなく、1999年に誕生した統一通貨ユーロである。

 マーストリヒト条約はユーロ参加国に「名目国内総生産(GDP)比財政赤字3%以下、債務残高60%以下」という厳しい義務を課した。通貨の安定は健全な財政に支えられるからである。

 第二次大戦直後から“米ドル支配”からの脱却を模索し、各国が通貨主権まで捨てて創造したユーロの安定を図るには、メンツなどにこだわっていられない。冒頭の両国財務省の言葉には、そんな強い政治的意志が読み取れよう。

 そして、マーストリヒト基準を達成した今もなお、「あれは上限であり、限りない『以下』を目指す」と口をそろえる。こうしてユーロは世界の中央銀行が保有する外貨準備に占める比率を発足時の18%から26%に上げ、基軸通貨への道を着実に歩んでいる。

 凋落(ちょうらく)したのはドルと円だ。とくに円は3%台と英ポンドにも抜かれて完全なローカル通貨に成り下がった。それはそうだ。来年度予算案では基礎的財政収支を5年ぶりに悪化させ、国債残高だけでGDP比105%、地方を合わせた債務残高は147%に達する。こんな赤字大国の通貨が強い信認を得られるはずがない。

≪■立派な外交・安保問題≫

 この期に及んでも肝心の社会保障や地方対策で歳出を緩め、消費税論議で立ちすくむ政治は一体、何を考えているのだろう。思うに、財政を単なる内政問題としかとらえず、通貨など眼中にないからではないか。

 人民元問題をめぐる米中関係を見るがいい。米国があれほどさらなる切り上げを求めても中国が応じないのは、1兆5000億ドルを超す断トツの外貨準備を武器に米国を揺さぶっているからだ。

 中国はユーロへのシフトを強めているが、まだ6割は米国債で運用している。これを急激に売却すれば、ただでさえ経常、財政の双子の赤字を背景にしたドル安の底流が一気に動き出し、暴落につながりかねない。

 それは長期金利の高騰と株暴落を呼び、いくら米経済といえどももたない。中国は米国が常にその恐怖感に苛(さいな)まれていることを熟知しているから、いくら米国が切り上げ圧力をかけても高をくくっているのである。

 もっとも、中国にしろ強大な軍事力を持つ米国にそんな経済戦争は仕掛けられない。だから、人民元は双方出来レースのように本気で動かぬ膠着(こうちゃく)状態を生む。

 では、相手が日本だったらどうか。インド洋上の給油継続問題ですら国会であれだけ紛糾し、自らの経済水域で中国船が自由に動き回るのを見ているだけの国に遠慮することなどあるまい。

 国債残高はGDPを上回る553兆円だ。家計貯蓄率は3%まで急低下、そのうち国内貯蓄で消化できなくなるかもしれない。中国がそこに目をつけ大量保有したら、金利、株価を通じて日本経済を左右することだって可能だ。

 利にさとい中国は超低利の日本国債に手を出していないが、先進国で突出して悪化した財政にある国債の金利は常に高騰リスクを抱える。いつ大量保有に乗り出してもおかしくはない。財政は立派な外交・安保問題なのである。

≪■想像力と構想力の欠如≫

 しかもこの財政はアジア経済戦略の足まで引っ張っている。

 人口減という“列島縮小”時代を乗り切るにはアジアとの一体経済圏をつくる以外になかろう。東アジア共同体は時期尚早だが、発展段階の近い日、韓、台湾、さらに東南アジア諸国連合(ASEAN)代表としてタイを加えて先行させることは可能ではないか。

 無論、予想される中国の反発などハードルは高いが、問題はそれだけではない。自由な市場には域内通貨の安定が不可欠で、せめてユーロの前身である欧州通貨制度的な仕組みがほしい。では、かつての西独マルクのような重しになるアンカー通貨をどうするか。

 経済規模から言ってその役割を果たすのは円しかない。だが、財政がこれではアンカーたりうるだろうか。いまや、東南アジア通貨も連動性を強めているのは円ではなく人民元となっている。

 政治に少しの想像力と未来を描く構想力が備わっていれば、こんな財政を放ってはおくまい。
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by sakura4987 | 2008-01-31 08:24

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