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◆無差別爆撃の非道さを問う



       【土・日曜日に書く】論説委員・石川水穂

 (産経 08/1/26)

 http://sankei.jp.msn.com/entertainments/entertainers/080126/tnr0801260317002-n1.htm


 ≪■「明日への遺言」を見る≫

 3月から上映される「明日(あした)への遺言」(小泉堯史監督)を試写会で見た。日本の戦争犯罪を裁いた戦後の横浜裁判で、B級戦犯として死刑判決を受けた東海軍司令官、岡田資(たすく)中将の「法戦(法廷闘争)」を描いた作品である。大岡昇平氏のノンフィクション「ながい旅」を映画化したものだ。

 岡田中将は、中京・阪神地区を空襲して撃墜された米軍の爆撃機「B29」の搭乗員27人を軍律会議にかけず、略式手続きで処刑を命じた罪に問われた。岡田中将は全責任を負う覚悟で法廷に臨み、B29による無差別爆撃こそ戦争犯罪であると主張した。岡田中将役の藤田まこと氏がその法戦の模様を迫真の演技で伝えている。

 無差別爆撃といえば、昭和20年3月10日未明、東京・下町一帯がB29の空襲を受け、10万人が死亡した東京大空襲がよく知られる。岡田中将の指揮する東海軍管区司令部があった名古屋市も、同年5月14日の空襲などで約8000人が死亡した。

 日本が頻繁に空襲を受けるようになったのは昭和19年夏、サイパン、テニアンなどを失陥し、本土がB29の行動圏内に入ってからである。当初、米極東空軍司令官のハンセル少将は、中島飛行機工場(東京西部)などの軍事施設を狙った精密爆撃を命じた。しかし、日本上空の雲が多い気象などに妨げられ、精密爆撃の十分な戦果はあがらなかったとされる。

 ≪■戦犯裁判の一断面描く≫

 昭和20年1月、ハンセル少将に代わって空軍司令官に着任したルメイ少将は非戦闘員を狙った無差別爆撃に転じた。まず、爆撃目標地域の周囲に焼夷(しょうい)弾を投下し、逃げ道をふさいだうえで絨毯(じゅうたん)爆撃を加える方法である。

 「ながい旅」や「明日への遺言」では、岡田中将やフェザーストン弁護人の懸命の訴えに、裁判委員(裁判官)が感銘を受ける場面も描かれている。岡田中将は、B29の搭乗員を処刑した罪に問われた被告20人の中で、ただ一人、死刑を宣告され、巣鴨プリズンで絞首刑に処されるが、収監中には助命嘆願書が相次ぎ、それには、岡田中将を追及したバーネット検事の名もあったという。

 だが、すべての戦犯裁判がこうだったわけではない。通常の戦争犯罪や「人道に対する罪」を裁いたBC級戦犯裁判はマニラ、シンガポール、ラングーンなどアジア各地で行われ、約1000人が死刑判決を受けた。身に覚えのない捕虜虐待の責任を押しつけられたり、現地住民のあやふやな証言だけで起訴されたりするケースが多く、3分の1は明らかな冤罪(えんざい)だったといわれる。岡田中将のように、十分な弁明の機会を与えられた裁判は極めて稀(まれ)であった。

 ≪■冒頭に反日宣伝写真も≫

 映画の中で、ただ一つ残念な個所がある。冒頭の時代背景を説明するくだりで、米国の反日宣伝写真が挿入されていたことだ。中国・上海で、線路上に1人取り残された赤ん坊が泣き叫んでいる写真だ。日本軍による空爆の被害を訴える写真として、米国の雑誌「ライフ」の1937(昭和12)年10月4日号に掲載され、米国社会での反日世論が一気に高まったといわれる。撮影者は「ウォン」という中国系米国人だ。

 だが、この写真は反日宣伝のための創作だったことが、自由主義史観研究会などの調査で明らかになっている。1944年に米国で上映された反日宣伝映画「バトル・オブ・チャイナ」には、大人の男性が赤ん坊を抱きかかえて駅のホームから線路に運ぶ演出シーンが写っている。

 かなり前の話になるが、昭和58年に上映された記録映画「東京裁判」(小林正樹監督)に、中国側の宣伝映画にある南京事件の“やらせ映像”が挿入され、問題になったことがある。

 戦前・戦中、中国や米国で流布した反日宣伝用の写真や映像の多くが、今でも“史実”として独り歩きしている。歴史写真の再検証の大切さを思い知らされる。

 日本の大都市への無差別爆撃を指揮し、トルーマン大統領の広島・長崎への原爆投下命令を実行したルメイ少将は戦後、米空軍参謀総長にまでのぼりつめた。日本政府は昭和39年、「航空自衛隊の育成に協力した」として勲一等旭日大綬章を贈っている。

 終戦直後、旧内務省が行った集計によると、空襲による死者は、広島、長崎の原爆被害を含め、26万人に達した。原爆による死者はその後も増え続け、現在も多くの人が後遺症で苦しんでいる。

 原爆や都市への無差別爆撃は、本当に必要だったのか。それは戦争犯罪ではなかったのか。「明日への遺言」は、このことを米国や日本の若い世代に改めて問いかけているようにも思える。
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by sakura4987 | 2008-01-31 08:27

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