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◆『尖閣研究-高良学術調査団資料集 上下』島の状況と生態生き生きと



 (2008/3/4)


 『尖閣研究-高良学術調査団資料集 上下』尖閣諸島文献資料編纂会編(データム・レキオス・5040円)

 明治28(1895)年1月、日本政府が「わが国の領土」であることを「先占」する以前から、尖閣諸島では石垣島の古賀辰四郎氏がアホウドリの羽毛の採取、海鳥のふんを肥料とした殖産活動をしていた。かつお節加工工場や海鳥の剥製(はくせい)工場もあり、日本人が居住していた。当時の写真には日本国旗がヘンポンと翻っている。他国から異論はなかった。

 昭和初期に無人化したが、戦後、沖縄の人々は生活の糧を新地へ求め、西表島、尖閣周辺海域での出漁が活発になった。25年初頭、魚釣島でかつお節加工が再開し、漁船に乗って尖閣諸島に渡った人がいた。高良(たから)鉄夫・農学博士。琉球政府農林省農業改良局調査課長で、琉球大学農学部部長、学長を歴任した。

 「尖閣調査の先駆者」と言われ、無数の海鳥が生息する「古賀の無人島」探検が少年時代からの夢だった。海鳥や海幸・山幸の富源調査に加え「海鳥のヒナの訓練」の妙技を視察しようとしたのは、戦後荒廃した青少年の教育に役立てたかったからという。だが現実は野生の猫が繁殖し、1羽も生息せず、衝撃を受けた。以来、43年まで5次にわたって学術調査、資源調査をくまなく行った報告が本書である。

 困難な時代に調査を敢行した博士の先見性と行動力に驚く。島の状況や動植物の生態が克明に、生き生きと、分かりやすく描かれており、実際に島に居るような気分になる。子供向きに書かれたものもあり、海岸でカツオが釣れる、棒で魚を取る、カジキが海鳥を食べたといった類の話も書かれていて興味が尽きない。


 高良氏の単独行動(第1次予備調査)から2年後の27年、資源調査団が組織され、沖縄経済人の協力や琉球政府文化財保護委員会の委託で続いた。第5次は石油資源を含む鉱物資源予備調査も実施され、内閣総理府(現内閣府)で報告会が開かれた。国連ECAFEが、尖閣諸島周辺の大陸棚に石油資源が埋蔵されていると報告し、一度も領有権を主張しなかった中国と台湾が突然、主張を始めたのはこのころである。

 わが国政府は「日本の領土」だと繰り返すだけで有効な措置をとらず、中国や台湾、香港の「活動家」に領海と領土(島)を侵犯され、短時間とはいえ外国旗が掲げられた。

 尖閣諸島と東シナ海の石油開発に関心を持って20余年、機会があれば現地へ出かけた私にとって、沖縄は第二の故郷のようなもの。日中中間線が日々紙面にのぼるこの時期に、沖縄の人々によってこのような報告が出版されたことは誠に喜ばしい。

(軍事評論家 平松茂雄)

 ■ひらまつ・しげお 昭和11年、静岡県生まれ。慶応義塾大大学院博士課程修了。防衛庁防衛研究所第3研究室長、杏林大学教授など歴任。『中国、核ミサイルの標的』『中国は日本を奪い尽くす』など著書多数。
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by sakura4987 | 2008-03-07 14:40

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