◆宗教教育衰退し崩れる社会規範 (世界日報 2008/2/26)
英国から
十二、三歳から飲酒、喫煙を始めて、週末にはティーンエージャーたちが町の繁華街で暴れる。あるいは麻薬に染まり、麻薬代欲しさに強盗や売春にまで走るようになる。少年ギャングたち同士での殺し合い事件が頻繁に起きる。
今の英国社会を見ていると、日本以上に社会規範が崩れてきていることが分かる。英国人の知人に聞くと、三十年ぐらい前まではこうではなかったと言う。
この国の社会規範やモラルを支えてきたのは、もちろんキリスト教であり、教会が聖書に基づいた宗教教育を家庭や学校に対して与えてきた。ところが、現在の英国ではキリスト教が衰退し、「もはやキリスト教国家ではない」という声さえ聞こえる。神を抜きにした人間中心の相対的価値観で生きる世俗主義が跋扈(ばっこ)しているのだ。学校で必修科目になっている宗教教育(RE)の授業も各宗教に関する外的な知識を教えることに終始し、規範教育ではない。
公立校でREを教えている英国人の友人は「イングランドでの規範(モラル)教育の基本は教えられることではなく、教師と生徒との関係自体が規範的であらねばならない」と主張するが、そうした理想的な規範教育の姿は現在では一部の宗教系私立校でのみ可能だ。
日本と異なり「道徳」を正式教科にするというような発想は個人主義の西欧社会では全く出てこないが、世俗化してしまった英国で、一体誰がどのように規範を教えられるかが今、真剣に問われている。

