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◆【正論】作家・堺屋太一 日本の再興は公務員改革から



 (産経 2008/3/11)


 ■「一流でない」現状打破の3原則

 ≪相次ぐ官僚の失敗≫

 「日本の経済はもはや一流とはいえない」-大田弘子経済財政担当大臣はそう演説した。同じ言葉を使うなら、日本の官僚はもはや一流とはいえない。

 今年度は官僚の失敗が相次いで露呈した。年金記録の喪失、薬害肝炎事件、賞味期限切れを衛生問題のように思わせた説明不足、もともと技術的に不可能な規格を作っていた再生紙問題。極めつきは建築許可の遅延、秋口からは建築着工件数が激減し、多数の企業が倒産、何十万人もの建設労働者が仕事を失っている。

 この件に限らず、官僚の無能と怠慢が引き起こした官製不況の被害は甚大である。

 加えて防衛省では、汚職容疑で逮捕されるような人物が4年間も事務次官として猛威を振るっていたし、イージス艦の事故では情報の遅延や偽装が目に余る。官僚の隠蔽(いんぺい)体質が露呈したとしかいいようがない。

 官僚たちの失敗は、こうした事件事故だけではない。外交、経済、財政、福祉、教育、建設など多くの面で問題山積、ほとんど何事も解決できない状況が続いている。

 ≪省あって国なし共同体≫

 かつて経済高度成長を演出し、格差も犯罪も少ない世の中を創(つく)り、優れた基礎教育を築いたはずの日本の官僚機構が、なぜこれほど劣化したのか。

 その最大の原因は、官僚機構の共同体化、国家国民に奉仕するのではなく、官僚仲間の安逸と組織利益のために働く倫理の退廃である。

 組織はある目的を達成するために作られる。しかし、作られた組織は、本来の目的とは異なる目的を持つ。組織に属する者の安楽と富貴を追求するのだ。

 日本の官僚機構は、それぞれの行政目的を達成するために作られた。しかし、高度成長から40年、各府省には情報の秘匿と年功人事で競争のない閉鎖社会ができ上がっている。

 キャリア官僚は20年ほどで全員が同時に本省課長職に就き、それからあとは仲間内の評判によって出世の度合いが決まる。つまり自分の府省の定員と予算を増やし、威張れる権限を強め、天下り先を広げた者が出世するのである。

 このため、官僚たちは定員と予算と権限の拡大を目指して国会議員に根回しをする。内閣の方針も大臣の意向も無視して、「わが省の方針」を説き回る。守屋元防衛省次官は、業者の水増し価格請求にも気付かぬほど業務には無知だったが、大物次官として長期君臨できたのは、議員回りの院外団活動に熱心だったからだという。日本の官僚は、「省益あって国益なし」といわれる所以(ゆえん)である。

 その一方で、官僚を選挙運動や私的集団のために使いまくる国会議員もいる。

 こうした事態を脱するには、3つの改革が必要である。いやたった3つの、費用も危険もない改革だけでよいのだ。

 第1は、憲法の規定する議院内閣制の本義に戻り、行政の中核を内閣とすることだ。具体的には、大臣が部下の官僚の言動を的確に把握し、国会議員との接触は、大臣の許可を得た場合に限る。国会には大臣や副大臣、政務官が対応し、それを補佐する専門の政務専門官を付加する。

 内閣が失敗すれば、国民が次の選挙で取り換えればよい。官僚はどれほど失敗しても国民が辞めさせることができない。

 ≪実力主義の一元管理を≫

 第2は、採用時からエスカレーター式の出世を確約するキャリア制度を廃し、民間や学者からの中途採用者や一般職採用の有能者を、実績に応じて出世させる競争人事を広げることだ。

 官僚の中には「出世が確実でなければ不安がって優秀な人材が来ない」という理由で反対する者がいる。しかし、「22歳で採用されるときに70歳まで天下り先で高給を取れると約束されないと心配だ」というほど自信のない利己主義者が本当に「優秀な人材」だろうか。むしろ、実力主義の競争を恐れない人材こそ公務の分野に入ってほしい。

 第3は、内閣人事庁による幹部公務員の一元管理である。どこの企業でも人事部があり、各社員の実績や能力を記録して蓄積しているのに、国家公務員にはそれがない。国際機関や地方自治体に出向した官僚が、勤務機関よりも本籍地の官庁の同僚にばかり気遣うようでは、経験の蓄積も適切な人事配置もできない。内閣人事庁の一元管理に反対するのは、府省別の官僚共同体を温存するためでしかない。

 官僚(公務員)を、天下り付き終身雇用の身分から、適材が務める効率的な職業に改めることこそ、傾きかけた日本を再興するはじまりである。
by sakura4987 | 2008-03-18 12:48

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