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◆【主張】人権擁護法案 消えぬ「言論封じ」の危険 (産経 2008/5/31)


 人権擁護法案の成立を目指す自民党の人権問題調査会で、太田誠一会長は人権委員会の権限を大幅に縮小した修正案(太田私案)を示した。

 私案は、人権救済の対象について、いくつかの類型を列挙し、人権侵害の定義があいまいだった以前の政府案に比べると、改善されたように見える。

 しかし、省庁と同格の「3条機関」(国家行政組織法)として人権委員会を新設し、民間の言動をめぐる議論に公権力が介入する枠組みは変わらず、憲法で保障された言論・表現の自由が制限される危険性は消えていない。

 例えば、人権救済の対象となる「差別的言動」を「反復して行われるもの」に限定したとしているが、言論を浸透させるためには、繰り返して主張することが必要である。言論自体が封じられる恐れは依然としてあり、「反復して」は無意味な付け足しに近い。

 また、法務省が平成14年に示した案には報道制限につながりかねないメディア規制条項があった。マスコミの批判を受けて太田私案では削除されたが、それは報道機関が特別扱いされないだけで、他の民間組織と同様、「差別的言動」の有無などについては人権委員会の監視を受ける。

 「話し合い解決法」とも称される太田私案は、制度の乱用を防ぐための不服申し立て措置を設けるなど、ソフトなイメージを強調している。だが、人権委員会が人権侵害と判断すれば、担当者を呼び出し、捜索・押収も行えるという基本的な構図は、政府案とほとんど変わっていない。

 調査会は、新たな人権侵害の例として、学校裏サイトへの書き込みによるいじめ自殺などのケースを挙げている。とはいえ、いじめは文部科学省の下で教育委員会が指導すべき問題であり、人権委員会が教育委員会を差し置いて調査に乗り出すべきではない。その他の人権侵害も、それぞれの省庁で解決できる問題が多い。

 人権侵害は、警察や検察庁、刑務所など、見えにくいところで行われるケースもある。そうした公権力による人権侵害を防ぐことには、だれも異存はなかろう。しかし、民主主義社会で民間の言論・表現活動をしばりかねない法律をあえてつくる必要があるのか、極めて疑問である。

 こうした根本の問題に立ち戻っての議論を改めてすべきだ。
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by sakura4987 | 2008-06-03 15:45

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