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◆【野口裕之の安全保障読本】決議にダンマリ 国連中心主義国



 (産経 2008/9/6)


 祖国の不甲斐(ふがい)なさに覚悟はあったものの、6月に全会一致で採択された国連安全保障理事会決議は、読むほどに恥ずかしさがこみ上げる。

 折しも、平成20年版の防衛白書が「国益に資する」と明記した新テロ対策特別措置法の延長が微妙な雲行き。だが、政治家は決議に関心もない。

 ソマリアの海賊に対処する外国海軍艦艇に「必要なあらゆる措置」を授権した画期的決議を解すれば「せめて、同じ海域で対テロ作戦を担う各国海軍への補給は続けなければ」と、並の国際感覚を持つならば悟ったはずだ。もっとも、安保理が「軍議の場」であることを知ってか知らずか、日本は安保理常任理事国入りを目指すというから、並の国際感覚などあるはずもなし。

 日本のような、外交を経済でカバーする「商人国家」が、常任理事国という“御家人株”を、財にモノ言わせて手に入れても、諸外国はヤットウ(剣術)もできない「俄武士(にわかぶし)」の限界を蔑(さげす)むだけだろう。

 決議に際しては、跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)するソマリア沖の海賊に対処すべく、ソマリア暫定政府(TFG)の求めに応じ、日本も含め16カ国が提案国に名を連ねた。日本の“勇気”には驚いた。身代金目当ての誘拐といった「不法な武力行使=海賊行為」に対抗し、国際海洋秩序安定に向けた兵力投入ができない分際なのだから、提案だけして他国に取り締まらせる算段だろう。

 ソマリア沖が日本の重要なエネルギー資源輸送路であり、日本関係の船が度々海賊に襲われている現実を頭に描き決議文を読むと冷や汗が出る。

 加盟国と国際機関に国連憲章第7章に従い、次なる措置の実行を要請している。

 (1)ソマリア沖公海で海軍艦艇と軍用機を展開中の加盟国に、海賊行為監視とともに、特にソマリア沖航路利用に利害を持つ加盟国には、TFGと協力して海賊行為抑止への努力を強化、協同することを請う。

 ▽日本は自衛艦をインド洋に派遣、この海域に「利害を持つ加盟国」で「海賊行為抑止を強化、協同」もできる。艦影・海軍旗を見せるだけで海賊の台頭を抑えてきた海軍のプレゼンスは、海上自衛隊の法的限界を知らない海賊には有効であるし、TFGや展開中の各国海軍に、海賊の射程外からの追跡とそれに伴う位置通報は可能だからだ。

 (2)国際・地域関係機関と協力しながら、全加盟国は相互に情報共有し、海賊に脅かされ、襲撃されている船に国際法規に従った支援を求める。

 ▽「協力し、情報共有」までは、海自にもできる。ところが「国際法規に従った支援」には?マークが灯(とも)る。各国海軍はおのおのが定める交戦規定により通常、任務遂行=海賊逮捕のための武器使用ができる。

 しかし、自衛隊の平素の武器使用は自衛艦といった自衛隊の武器を守るときのみ。人員や装備に被害が及ぶ事態が確信できるまで応戦が許されない。

 実は、国際海洋法条約は締結国に海賊取り締まりを認める一方、具体策や司法手続きは国内法に委ねている。例えば、海賊の抵抗に応じ、「停船要求→警告射撃→航空機から特殊部隊を降下させ強制停船」-などの手順を踏む。

 ところが、公海での警察権を沿岸警備隊(海上保安庁)を補完する形で担っている諸外国の海軍とは違い、海自には警告射撃すら許されない。

 さらに、日本では国内法が未整備で、武器使用以前にも問題がある。

 公海上で取り締まり、日本の裁判にかけられるケースは、日本船籍での犯罪や外国船で日本国民が被害者になるなど、日本の刑法適用事案だけ。

 日本の貿易を支える外航海運は多くが「便宜置籍船」と呼ばれる外国船。船員も外国人が多数で、海賊に襲われても“治外法権”となる。従って、決議が認める海賊制圧目的での「ソマリア領海への追跡権」も「必要なあらゆる措置の実施」も、海自には有って無きがごときの権能である。

 米仏など常任理事国は無論ドイツやカナダ、オランダ、デンマークの各海軍もこの海域での海賊取り締まりに軍艦を派遣している。何が「国連中心主義」か。憲法98条第2項にある「条約及び国際法規の遵守」が泣こうというものだ。
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by sakura4987 | 2008-09-08 13:44

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