◆“暴走”する児童相談所/独断で「虐待」認定、子供隔離
(世界日報 2008/9/20)
「内外地理研究会」代表 小菅 清氏に聞く
保護者の意向を無視し拉致/家族破壊の悲劇次々と
■背後で左翼勢力と結託
社会問題化している児童への虐待を防ぐために、児童相談所(児相)の果たす役目は大きいと言われる。だが、現実には大半の児童相談所が、家庭内で起きるささいなトラブルや行き違いなどにも過剰に反応し、親や子供の意向を無視して、子供を親元から強制的に隔離して、新たな悲劇が起きているという。この問題に長年取り組んできた小菅清・内外地理研究会代表に、児童相談所の“暴走”について聞いた。
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――昨今、親による児童虐待が社会問題とされ、児童相談所が手遅れになる前に積極的に関与して、悲劇が起きないようにと、児童福祉法・児童虐待防止法により、児相の権限が強化されました。これをどう思いますか。
■児童福祉法などに書かれている「虐待」や「苛め」や「暴力」の用語の内容は極めて曖昧で不正確です。従いまして、児童相談所が勝手に解釈して、「手遅れになる前に」などと言って、確かな証拠も有責証言もないままに適用するため、行政暴力が生じて、家族破壊の悲劇が次々と引き起こされています。
昨年度の「虐待」についての児相発表は四万件以上、他方、警察発表は三百件以上です。実に百三十倍以上の差があり、同じ用語では到底理解ができません。警察は専門的な調査・捜査能力がありますから、社会的に問題になった事例のほぼすべてを含んでいます。他方、児相は調査する能力も意欲もありません。「虐待」だと勝手に認定した件数を発表しているだけです。
しかし大半は、「虐待」「暴力」でも「虐待の疑い」でもありません。実際は親による子育て上の不備や不十分さ、単なる過失や叱り過ぎ、躾の厳しさ(単純体罰)、部外者の推測による密告を、すべて「虐待」「暴力」としているだけです。無実や、些細な事実を意図的に「虐待」などと決め付けて、子供を誘拐・拉致するための手段としているのです。
実際は、一部の特定の思想・信条を持つ人々によって主導された児相側が、普通の家族から親子の結び付きを次々と破壊しています。「虐待」者は親ではなく、児相側なのです。
――この児福法などが活用されて家族破壊が行われた、具体的な事例をお話しください。
■神奈川県のA家では夫妻間に不和があり、妻が婦人相談所へ行ったところ、夫による妻への「暴力」のためとして、妻は「女性保護施設」、子供は「児童保護施設」へと隔離されました。妻は施設の異常さに驚き、数日で逃走して、やがて夫と共に子供の返還を求めたのですが、児相は「父による虐待の疑い」を口実に、返還を拒否しています。
関西のB家では四歳の女子が性器を痒がるので、医院へ連れて行ったところ、淋病と診断されました。治療中に児相が医院へ来て、「性的虐待」を口実としての一時保護を告げて、やがて女子は行方不明に。親は正確な調査を求めたが、かたくなに拒否されています。調べればすぐに分かることですが、親宅に風呂がないのでいつも銭湯へ行っていました。なお子供がその銭湯で感染する事例があるのは、医療の常識です。
中部のC家では母が病気で寝込んでいる時に、上の子が下の子に、机上にあった風邪薬を飲ませてしまいました。病院へ搬送されて治療を受けたのですが、医師らは親による殺害未遂と邪推して、警察と児相へ密告。後日、警察が捜査に来て、単純過失と認定しました。数日後に児相が来て、「虐待の疑いにつき調査する。一時預かりをしたい」と言い、親元から二子を誘拐しました。以後、返還要請を無視しています。
東京都のD家では小学六年の子供(11)の監護権が家裁の審判で父から母へ移りました。しかし子供は母側への移動を完全に拒否し、本人は自殺未遂までしました。すると母側の密告からか、児相はこの子供を一時預かりすると言い、誘拐したのです。
この時、父へは何一つ説明がなかったので、理由も分かりません。なお子供は五カ月後に、児相の隔離施設から二回も父・姉の所へ逃走して来たのですが、二回とも、児相に拉致されて、現在は自殺や人格破壊が心配されている状況です。
関西のE家ではしっかりとした躾を基本に子育てをしており、時には節度ある体罰もありました。上の子はそうして育ったのですが、さて下の子供が小学校に入学した後、担任の先生が子供の身体に軽い痣を見つけて、親を呼んで体罰の全廃を要求しました。しかし親が恭順しなかったため、学校は児相へ密告。やがて学校帰りに子供は拉致されて行方不明となったままです。
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――問題は法律ですか、運用面の解釈ですか。
■この法律上で児相が行動を起こせる要件というのは、「身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行」「児童に著しい心理的外傷を与える言動」などであり、児相によりどのようにでも拡大・恣意的解釈ができる文言となっています。これには原型があり、かつてのスターリン法制から学んだ“教条持ち”たちが立法化を進めたことによります。彼らは概念規定の定かでない法律をわざと改定・制定したのです。
――こうした問題に積極的に介入してくる弁護士や支援者たちの目的は何ですか。
■かつての社会・共産主義は一九九〇年ごろに大きく後退しました。しかし、やがて新たに変異した社会・共産主義は、過激な女権主義や似非子供権利主義やその他の教条を持つ人々と連合を進めました。彼らの主義主張、思い込み、感覚などはまず男女共同参画法に入り、以後、彼らの運動は「配偶者=夫の暴力の根絶と離婚推進」「児童虐待防止」その他を経て、似非人権擁護法制定などへ向かっています。
なお“教条持ち”は各種議会議員の一部、国家・地方公務員の一部、これは児相や婦人相談所に多い。また裁判所内の一部、学者・弁護士の一部、教育・医療関係の一部、新聞・放送内の一部、各地の活動家から成る一種の連合体です。
彼らの教条の基本は「理想社会の建設」とかのようなもので、このための論法として「一切の暴力の根絶」「家族による子育てより社会的な子育てを」「人権を確立して、すべての差別を禁止する」などと、人間の現実を無視した虚偽の理屈を挙げています。
この“教条持ち”が既に児相も動かしているのです。なお児相には表向きの業務実績が欲しい者や、隔離施設と利権絡みの者もいます。
――この間の小菅さんたちの活動を通じての成功の事例、政治家や報道との対応、今後の活動方針などを話してください。
■成功したのは多くの人が児相へ抗議してくれたからです。なお関心を持ち意思表示する人が増えれば、教条持ちの圧力で報道が止まっている現状も超えられます。
ところで彼らはさらなる法律改定を狙っています。第一に、児相側が実の親から親権や監護権をより簡単に奪い取りやすくする。第二に、児相側から親権を持つ実の親が子供を連れ戻した場合も誘拐罪に当てはめる、逃げた子供を実の親が保護した場合も処罰対象にするというものです。これらの阻止には政治家の力が何としても必要です。心有る人にぜひとも、今の日本で起きている悲劇の実態に気づいていただき、それこそ手遅れにならないうちに、毅然とした対応をお願いして、家族破壊をやめさせていただきたいと願っています。
こすげ きよし 昭和21(1946)年茨城県生まれ。中央大学法学部卒。都立高校社会科地理教員。各国民情調査180回以上。著書に『不良外国人にだまされない本』(データハウス社刊)。内外地理研究会(国際困り事相談)を設立し、相談歴18年。DV防止・児童虐待防止(家族破壊)法犠牲家族支援の会を、野牧雅子氏と設立。