◆本当の犯人を捕まえろ
(産経 2008/11/18)
容疑者と捜査員しか知らない「秘密」が、新聞に載った際、警察上層部は決まって「だれが情報を漏らしたのか」と内部で犯人捜しを始めます。ときには全捜査員の携帯電話を提出させて履歴を調べ、記者と接触していないかをチェックする場合もあるそうです。
これとは質を異にするかもしれませんが、先月、千葉県東金市に女児死体遺棄事件の取材に行った際、捜査幹部の対応に違和感を覚えました。質問はほぼ受けつけず、痛いところを突く質問をすれば、「二度とお前には答えない」と威圧的な対応をするのです。大半を「言わない」で通し、捜査幹部からは事件の全体像が見えてきませんでした。
こうした対応を取るのは、本人の資質の問題もあるでしょうが、ある県警幹部は「ここ数年、県警上層部が情報統制と、その犯人捜しにうるさくなって、みな萎縮(いしゅく)しているから」と言います。しかし、事件捜査の進展が幹部から公式には明かされず、周辺住民は不安を抱えて生活していると聞きます。
事件は発生からまもなく2カ月。“(記者に情報を漏らす)内部犯捜し”などという余計なことにとらわれず、本物の犯人を捕まえることだけに全力を傾けてほしいと思います。