◆欧州物理学チーム,特殊相対性理論の「E=mc2」をついに証明
(AFP 2008/11/23)
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2541360/3546071
理論物理学者アルバート・アインシュタインが1905年に発表した特殊相対性理論の有名な関係式「E=mc2」が、1世紀余りの後、フランス、ドイツ、ハンガリーの物理学者のチームが行ったコンピューターによる演算の結果、ついに証明された。
仏理論物理学センターのLaurent Lellouch氏率いる物理学の合同チームは、世界最高性能のスーパーコンピューター数台を使って、原子核を構成する陽子と中性子の質量を算出した。
素粒子物理学では一般的に、陽子と中性子は、クォークと呼ばれるより小さな粒子で構成されていると考えられている。さらに、クォークはグルーオンと呼ばれる粒子で結びつけられている。
不思議なのは、グルーオンの質量はゼロ、クオークの質量は全体の5%しかなく、残りの95%はどこにあるのかということだ。
21日の米科学誌「サイエンス」で発表された研究結果によると、その答えは、クォークとグルーオンの動きや相互作用によって発生するエネルギーにあるという。つまり、特殊相対性理論でアインシュタインが提唱したとおり、エネルギーと質量は等しいということになる。
関係式「E=mc2」は、質量がエネルギーに、エネルギーが質量に変わることを示すもので、一定の質量がエネルギーに変わる際に放出されるエネルギー量を割り出すために、これまでに何度も利用されてきた。最も有名なのは、核兵開発のヒントとなる基本的な考え方となったことだ。
しかし、量子色力学の理論を用いて素粒子レベルで「E=mc2」を解くのは、非常に難しいとされてきた。
フランス国立科学研究センターはプレスリリースで、「この関係式はこれまでは仮説だったが、今回、世界で初めて実証された」と自信を持って発表した。