◆【正論】帝京大学教授・志方俊之 中国人留学生たちと触れ合って
(産経 2008/12/20)
http://sankei.jp.msn.com/world/china/081218/chn0812180240000-n1.htm
中国からの留学生には、ほぼ同じ経済的負担で米国に渡る選択肢もあった。最終的に米国より日本留学を選んだのは少なくとも嫌日ではなく、むしろ親日と言ってよい学生が多いはずだ。彼らに日本のどこが気に入ったか、と聴くと、「街が安全である」「清潔である」「貧富の差が小さい」と、お世辞抜きの表情で答える。
「いや、いま日本ではワーキング・プアや非正規雇用など格差の固定が大きい問題になっている」とこちらは応じるのだが、それでも彼らは「日本は共産主義革命を経ないで、どうしてこのような平等に近い社会を作り上げたのかその謎を学んで中国へ持ち帰りたい」と真剣な表情でいうのである。
中国における共産主義革命の目標は、働く人民の間に貧富の差が小さい「日本のような国」を作り上げることだった。今その途上にあるというのだ。
留学生が日本の学生に与える影響は大きい。いずれ帰国する留学生たちが将来、日中の懸け橋的役割を担うことを期待している。