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◆【櫻井よしこ 麻生首相に申す】今こそ戦後体制を正せ



 (産経 2009/1/8)

 http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090108/plc0901080233001-n1.htm


 世論調査では、次の選挙で民主党を支持するという人が自民党支持者を凌駕(りょうが)している。また、メディアの大半が、麻生太郎首相に対して、殊更厳しい論評を展開中だ。

 こんなときこそ、指導者は一ミリもひるまず、自分の使命に思いを巡らすのがよい。

 わずか20名の小派閥の長が首相に就任したのは、いかなる天命によるものか。加えて、自分は何を訴えてきたのかを考えるのだ。

 未曾有の金融危機から、日本はどの国よりも早く脱すると、首相は宣言した。そのための第2次補正予算を組んだ。同案への批判は自民党内でさえも厳しいものがある。だが、今更ひるんでどうする。いまは、よかれと思う政策を全力で推進することが肝要だ。

 眼前の補正予算成立に心を砕く一方で、首相が肝に銘ずるべきは、天命と信念である。

 自民党総裁に選ばれたとき、首相は、祖父の吉田茂元首相に言及した。吉田がやり残した課題は、日本に真っ当な軍隊を作ることだった。危機に際して国土、国民を守るに十分な軍事力を整備することであり、外交の支柱としての軍事力を充実させることだった。

 「国防と治安を欠けば国家の存立は期し難い」「(憲法)第9条第2項の軍備否定の条項は、(中略)問題がある」と吉田は明記した(『世界と日本』)。

 また、こうも書き残した。「日本のような島国では、国民の将来は海にある。海はいわゆる天空海闊(てんくうかいかつ)、進退自由である」と。

 日本は、吉田の願った9条改正も達成せず、天空海闊、進退自由の闊達(かったつ)な国家となるべきところを、打ちひしがれたかのように内向きの国家となり果てて今日に至る。

 そんな日本に変化を求める世界の動きはこれまでに幾度もあった。いま、それは海賊被害への対処として浮上している。ソマリア沖に跋扈(ばっこ)する海賊の不法な暴力行為、抑留、略奪行為などから、日本船舶のみならず外国船舶を護衛することが緊急課題である。

 海上保安庁と海上自衛隊の派遣を政府は検討中だが、海自の派遣に当たっては、海自が真に国際社会に貢献できるような体制をつくらなければならない。

 海上警備行動を発令しても、現在のように警察官職務執行法を準用するのでは十分な取り締まりはできない。私たちは現行法下での制約が、いかに自衛官を無意味な危険に晒(さら)してしまうか、いかに任務の達成が難しいかを、北朝鮮の工作船に対する取り締まりで十分に体験したはずだ。したがって、海自派遣の際は明確な武器使用規定の整備を欠かしてはならない。

 さらに、ここからが麻生首相の天命である。国際社会の必要とする力を、日本も他国と協調して出し合うこの行為を、自衛隊を真っ当な軍隊と位置づけることにつなげていかなければならない。どこに派遣されても、日本の自衛官らは、イラクのサマワで実証したように、誠実に任務を遂行するであろう。彼らが十分に働けるように、明確な武器使用規定を整備して、ソマリア沖に派遣することが大切だ。

                   ◇

 さらにもう一歩、麻生首相は気力を振り絞って、日本の姿を歪(ゆが)めてきた戦後体制を正さなければならない。それは集団的自衛権の行使を禁じている内閣法制局の憲法解釈を、真っ当な解釈に変え、同権の行使を可能にすることである。それこそが祖父、吉田以来の日本の課題の達成であり、麻生首相に託された天命であろう。

 日本周辺諸国の激変に目を移せば、日本の対応は待ったなしだ。

 中国は正式に空母建造を宣言した。ウクライナから購入した「ワリャーグ」を含めて中国自身が建造する2隻と合わせて、空母3隻体制の海軍大国、中国が、近い将来私たちの眼前に姿を見せる。アジア唯一の空母保有国となる中国は、従来にもまして、軍事力を背景に外交上の要求を実現していくだろう。

 中国はこれまでも長年にわたって東シナ海で日本の海を侵してきた。天然ガス田に関して、日本が試掘の可能性に言及しただけで、中国側は軍艦を派遣して対抗すると、複数回にわたって恫喝(どうかつ)した。軍事力で支えられた中国外交は、すでに日本に対してその軍事力の果実を得てきているのだ。

 日本側は、首相自らが「お友達のいやがることはしない」と愚にも付かないことを語り、中国の日本への侮りを増幅させた。日本側が糠(ぬか)喜びした“共同開発”も現状維持の“合意”も、中国にとっては何の意味も持たない。覇気なき日本の姿に、中国側はさぞかし自信をもってガス田開発を進め、樫(中国名・天外天)での掘削を続けたことであろう。

 日本はあらゆる意味で足元を見られているのである。中国同様、米国の新政権も、日本の覇気の欠如に加えて、安全保障の法的基盤の未整備という国家とはいえない欠陥を放置し続けるわが国の足元を見ることだろう。

 だからこそ、首相は一連の対策に、全力でとり組まなければならない。それを成し遂げれば、祖父の志は実現される。首相の掲げた「自由と繁栄の弧」の旗も輝く。その一事をもって、首相は、自身の信念を貫き、日本の国益に資すること、十分なのだ。
by sakura4987 | 2009-01-12 15:56

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