◆【次代への名言】3月30日・ゴッホ
(産経 2009/3/30)
■「日本の芸術を研究することによって、だれもがみな必ず、もっと陽気に、もっと幸福になるだろうと思う」(ゴッホ)
その作品が世界で最も愛されている画家、ヴィンセント・ファン・ゴッホは、葛飾北斎(かつしか・ほくさい)の作品に代表される日本美術や「あたかも花のように自然の中に生きている」と表現した日本人を称賛してやまなかった。冒頭は1888年の秋、「日本に似ている」という理由で移り住んだフランス南部のアルルから弟、テオにあてた手紙のなかにある。
ゴッホは、ゴーギャンをはじめ、友人の画家たちと自作を交換し、アルルに画家村をつくろうとした。そのヒントも日本から授かったものだった。「日本の芸術家たちがお互い同士で作品を交換したことに、僕は前から感心していた。それはお互いに愛し合い、助け合っていたしるしだ。(中略)こうしたところを見習えば見習うほどわれわれは一層よくなるはずだ」。そう親友の画家、ベルナールに記している。(『ゴッホの手紙』)
88年のきょう、アルルで35歳の誕生日を迎えたゴッホは、人生最良のときを感じていたにちがいない。同じ年の春、彼は弟への手紙をこう結んでいる。
「ここの自然がいつまでも好きなことは今後も変わるまい、それはまるで日本美術のようなもので、一度好きになると決して飽きない。 握手」

